流されてみる

プロ論。3

こちらは三池崇史さん。
この考え方も、なるほどと思いました。

P150
 ・・・そもそも僕は自分らしさとか個性とか、気にしないんです。だからもめない。むしろ個性は、無意識になったとき、自然なときにこそ出るものだと僕は思う。こんなふうにやりたいというのは、個性じゃなくてあこがれなんです。ところがみんな勘違いする。つまらないあこがれにこだわってつぶれていく。本当の自分でやらないから、無理が出ちゃう。
 我を通そうとするのだって、我を通したという事実が自分のプライドを満足させるのであって、意味ないんですよ。あいつは難しいヤツだと思われるだけで。仕事というのは、どう妥協するかでしょう。映画でも何でも思い通りに進むはずがない。そのときに、どうするか。妥協して、どう面白くするか。そこにこそ本当の力が出る。プライドの勝ち負けの問題じゃないんですよ。・・・
 ・・・要はどれだけ面白いものを作れるかですよ。それ以外は関係ない。ほかの人が決めた優劣にとらわれなければ、けっこう道は開けるものです。とにかく、やってみることなんですよ。
 僕は周りに流されて、気がついたら監督になっていた。だから若い人には、流されてみるのも方法だよって言いたい。川でおぼれて流されているのに、流れに逆らって泳いだら、すぐに力尽きる。むしろ、流れに乗って全力で泳げば、スピードは加速します。もちろん微調整はしてもいいけど、流れはうまく利用すべきだと思います。
 自分に合っていないかもしれないのに流されていいのかと思う人もいるでしょうが、大丈夫。合ってなきゃ、もうおぼれてるはずだから(笑)。どこまで流されるのか、想像もつかない。そういう経験も、一度はしてみていいと思うんですよ。