103歳になってわかったこと

一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い

ベストセラーになっている「一〇三歳になってわかったこと」を読みました。
また印象に残ったところを書きとめておきたいと思います。

P14
 私は生涯、一人身で家庭を持ちませんでした。どこの美術団体にも所属しませんでしたので、比較的、自由に仕事をしてきましたが、歳をとるにつれ、自由の範囲は無限に広がったように思います。自由というのは、どういうものかと考えると、今の私かもしれません。なにかへの責任や義理はなく、ただ気楽に生きている。そんな感じがします。
 この歳になると、誰とも対立することはありませんし、誰も私とは対立したくない。百歳はこの世の治外法権です。
 百歳を過ぎた私が冠婚葬祭を欠かすことがあっても、誰も私をとがめることはしません。パーティなどの会合も、まわりは無理だろうと半ばあきらめているので、事前の出欠は強要されません。当日、出たければ出ればいいので、たいへんに気楽です。しかも行けば行ったで、先方はたいそう喜んでくれます。 
 今の私は、自分の意に染まないことはしないようにしています。無理はしません。今日、明日のことでしたら、まだ生きているだろうと思うので、お約束しますが、あまり先のお日にちでの約束事はしません。
 自由という熟語は、自らに由ると書きますが、私は自らに由って生きていると実感しています。自らに由っていますから、孤独で寂しいという思いはありません。むしろ、気楽で平和です。