心の適温

ツキの正体―運を引き寄せる技術 (幻冬舎新書)

心の適温ということ、考えたことなかったですが、なるほどな〜と思いました。

P103
 ・・・逆境にもへこたれない「心の適温」について、お話しておきます。
 36度とか37度とか、身体に適温があるように、心にも適温というものがあります。高すぎても低すぎてもいけません。それはすなわち、自然ではない、ということです。
 そういう意味で、「熱い人」を私はあまり信用しません。
「会長、今日から僕は生まれ変わります。見ててください。やらせてください!」
 なんて熱に浮かされたようなことを言う人は、あまり長続きしない。熱い人は、すぐ冷める人でもあるのです。
 冷たすぎるのはもちろんいけません。生き生きとした活力がなく、流れを作り出す勢いがない。
 やはり、温かいと感じられる適温が一番いい。熱すぎず冷たすぎず、常に一定の適切な心の温度を保っていられる人間は、自然体で黙々とやるべきことを積み重ね、時間をかけて信頼を獲得していくものです。
 適温の心は、また、周囲をリラックスさせる力を持っています。
「日向ぼっこ」という言葉があります。悪ガキだった頃、冬の寒風をついての外遊び、その合間に暖かい陽が差すと、陽だまりを見つけて、みんなで冷えた身体を温めたものです。
 あの日向ぼっこのような力が、適温の心にはあります。
 私自身、自分の子どもや孫、道場生に対する心がけとしてあるのは、
「温めてやりたい」
 ということ。
 教育しよう、育成しよう、なんてことは思ってもいません。ただ私にも体温くらいはあるので、温めてやりたい、そう願っています。温まったら、あとは勝手に育って、好きなように成長していけばいい。
 逆境での努力にしても、適温を意識するといいと思います。・・・
 しゃかりきになるのでも逃避するのでもなく、自然体で黙々と、目の前のことにまっすぐ向き合うのです。