須藤元気さんの本

愛と革命のルネサンス
ちょっと前に出た本ですが、須藤元気さんの「愛と革命のルネサンス」を読みました。
紀行本として楽しめる内容で、理想主義について考察しながら中欧を訪ねた記録です。

P184
「ある意味、この世界は僕らのフィルムという名の意識を集めた映画を見ているのにすぎず、世界を変える一番の近道は一人ひとりのフィルムを変えることに尽きる」ということなのだろう。
 よりよい未来のための解決策は、あくまで自分なのだ。今、自分が楽しめなければ未来も楽しめない。世界も楽しめない。
 本当の理想主義とは、毎瞬毎秒、自分と自分の身の回りの人たちのささやかな幸福に全力を尽くすことなのだと、改めて確信した。
「これからの世界の変わり方が見えてきた気がしたよ」と僕はタクシーの中で言った。
 この旅によって、これまで人間の意識のなかにあまねく横たわっていた内的世界と外的世界を遮断する障壁が、いま崩壊しつつあることを感じた。
 それは波紋のように人々の心に広がって、やがて愛に満ち溢れた理想の世界へと僕ら人間を導き、必ずや新しい精神文明の花を開かせるはずだ。
「世界の行く末よりも、とりあえず腹が減ったよ」とイトウくんが言った。
「うん。答えはシンプルだ。まず自分が幸福でなければ世界は救えない」
「そうだそうだ」

 まじめに共感してると、ふっと笑わしてくれる絶妙なバランス感覚があって、須藤元気さんのセンス好きだな〜と、読むたびに思います。