成瀬雅春さんの対談集

ヨーガ行者の王 成瀬雅春対談集 “限界を超える”ために訊く10人の言葉

成瀬雅春さんの本、読みたいなと思いながらそのままになっていたところに、興味深い対談集が出てたので、即買いました♪
とても面白かったです。
また印象に残ったところを書きとめておきたいと思います。

空手家の増田章さんとの対談から・・・
P126
成瀬 ・・・ヨーガって自分をコントロールすることなんですよ。心も体も含めてね。そうした中で一番コントロールが難しいのは、「死」なんです。・・・最終的には、「一週間後のこの日に逝くよ」と宣言して、その通り自然死する。そのテクニックがあれば、何にも怖いものがなくなりますよ。生まれてきたら、ゴールは誰しも死なのですから、死は人間全員の目標でしょ。では、どうしたら死をコントロールできるかというと、現世に対する執着がなくなれば、コントロールできる可能性が出てくる。この世にやり残したことがある人は、また生まれ変わってくる。つまり単位を取りこぼして留年するわけですよ。だからこの世でやるべきことをやり尽くして、執着がなくなれば、死をコントロールできて、生まれ変わりもない。それが完成形だと僕は考えています。

増田 いいお話だな〜。心底共感いたします。究極の理想ですよ。

―成瀬先生のような境地にたどり着ければいいんでしょうが、仕事のこと、家族のこと、健康のことなどで悩みを抱え、日々煩悩だらけで過ごしている人が大半だと思うのですが……。

成瀬 それが生きている証じゃないですか。死を目指すには、毎日一所懸命生きるべきですよ。そうした日々の問題がもしすべて解消されてしまったら、人間死ぬしかありません。・・・
 荒行とか苦行ってあるでしょ。あれってじつは楽行なんですよ。千日回峰行って修行がありますけど、あれだって挑戦者が本当に苦しいと思ったら途中でやめるに違いありません。それを続けられるということは、どんなに足が痛かったり、眠たかったり、空腹だったりしたとしても、本人は楽しさを感じているからやっているんです。・・・
 ・・・
 僕もヒマラヤで危険といわれる修行を何度も行ってきましたが、あれだって苦行じゃなくて、楽行なんですよ。皆さんだって旅行先でハプニングがあったとしたら、生涯忘れられない思い出で、楽しい材料になるじゃないですか。何もないフラットな人生なんて、つまらないし、一番苦しいんじゃないですか。