一歩一歩

復活から常勝へ―早稲田大学駅伝チームの“自ら育つ力

ふと図書館で目にとまって、箱根駅伝の選手育成の過程を書いた「復活から常勝へ」を読みました。
できるだけステップは小さく刻んで確実に到達し、成功体験を繰り返す。
何かを続けて成果を出したいときは、この方法が一番ですね。

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 たとえば、高校時代に14分20秒前後の記録を持つ1年生が入ってきたとしよう。初めの3ヵ月ほどはじっくり練習で鍛え、まずは記録会などに出して14分10秒を狙わせる。この10秒短縮ができたらしめたもので、また数カ月の練習を積み、こんどは14分05秒を狙わせる。いきなり13分台をめざせとは指導しない。半年で20秒を縮めれば同じことだと思われるかもしれないが、できるだけステップは小さく刻んで、確実に到達できるものにしておく。
 目標達成の味をしめると、さらに上へというモチベーションがわく。また成功体験を繰り返すことで、自信もついてくる。
 反対に、実力より高すぎる目標はいつまでたっても達成できず、自信喪失に陥ることがある。成功イメージを描きにくいから、かえって漠然と走ってしまうおそれもあるのだ。
 一回ずつ実績を重ね、着実に成長していくイメージは大切だ。
 このイメージを本人が身につけたら、あとは指導者がぴったりついていなくても、自己成長のサイクルに入っていける。急激に成長するより、時間をかけてじっくり育ったほうが身体もできて、力の発揮にムラのない安定感のある選手に育ちやすい。
「一日でみれば平凡な変化でも、月日を重ねるとやがて非凡の域に到達する」
 ある製造業の社長さんが工場の改善活動についてそう説明してくれたとき、陸上選手がタイムを縮めていくプロセスに似ているなと感じたことがある。