百女百様

百女百様 〜街で見かけた女性たち

 なぜに今日はその装いで?・・・たしかに、そう聞きたくなる方、たまにすれ違うなぁ・・・ファッションっておもしろいなぁと思いつつ読みました。

 

P228

 装いは、生活と愛着に満ちている。装っている人の人生そのものである。人の数だけ人生があるように、人の数だけ装いがある。「愛着」といってもファッションに傾倒し、常にお気に入りだけを身に着けている人に限ったことではない。

 起きて、着替えて、今日どんな風に過ごすかを決めるまでのあれこれ。真剣に吟味を重ねて、あるいは必要にかられて嫌々ながら、はたまた眠くて適当に手に取ったものを、苦楽を共にしてきた身体に乗せる。そのひとつひとつの動作全て、ひとつひとつの意志決定全てが、誰に何を言われようと天衣無縫なのである。服だけに。

 例え当人が自分の装いを気に入っていようが、いまいが、他人がその装いを勝手にジャッジすることなんて、「ほんとうには」決してできないのだ。

 街中で突然「その服、どこで買ったんですか」と聞かれてどぎまぎしたことがあるが、私もよく「その装いは、どんなことを思って手に取ったものですか」と聞いてみたくなる。・・・

 ・・・十人十色ということわざを拝借すれば・・・この本全体では二十四人二十四色ということになる。しかし街で見かけた20人の女性たちについては私が勝手に想像を巡らせたことを書いた。彼女たちはみんな足早に歩いていき、一人ずつ追いかけてインタビューすることは叶わなかった。

 私にできるのは、できうる限り自分のまなざしに注意深くなりながら、ただ彼女たちを記憶に焼き付け、「ああ、やっぱり、好きなように装うのはいいな」と噛み締めることだけである。そう思いながら街へ出かける。

 街には百人の、百様の今日が色とりどりにひるがえっている。