わたしのままでママをやる

わたしのままでママをやる

 対談メンバーが、なんかすごい・・・と思わず手に取りました。

 

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うさぎ あたし、子どもいないので、人に預けるとか、そういう経験はないんですけれども。2年くらい前に閉経したときに、生理が来ないのをてっきり妊娠したんだと勘違いして、「ああ!あたし子どもができちゃった‼」みたいな、大騒ぎをしてですね(笑)。

 あたしはゲイの友だちがまわりにビッシリいるので、その子どもをどうするかみたいな話になったときに、オカマの子たちが、「育てさせてー!」って言ったんですよ。「あんたみたいな女、子どもなんか産んだって、どうせ育てらんないでしょ~?私たちが育てるーっ‼」って言ったんですよ。それで、ちょっと産む気になったことがあるんですよ、一瞬(笑)。

 ・・・あたしは自分の親に子どもを預けるってことは、100パーセントしないと思うの。そのときも思いつかなかったの。なぜかっていうと、あまりにも価値観が違いすぎて、あの両親に育てられたら、あたしの子でありながら、なんかどう扱っていいか分からない子になってしまうだろうと思ったので。

 で、オカマに預けようと思ったのは、このコたちだったら、あたしと価値観を共有しあってて、ものの考え方とか好きなものとかすっごくよく似てるから。この人たちが代理母をやってくれたら、あたしすっごい楽だわ、と思って。

 結局子どもは宿してなかったんですけど、親に子どもを預ける人って「親なんだから価値観を共有してる」ってのが大前提だよね。くらたまもそうなの?

くらたま 私はベビーシッターさんってまだ頼んだことないんです。見も知らない人よりは、親のほうがはるかに信用できると思うわけですよ。私と親の関係性は、わりと悪くないんです。信用してますね。

学 日本の場合、「預け先が親しかない」っていうのがあって、それが問題だよね。お母さんたちは、キャリアを維持するために、保育の人たちにずいぶん支払わなきゃいけないっていうのがあるわけですよ。だから「単身母」の多くが「貧乏母」になっちゃう。

春菊 さっき、データで説明を受けたときに、そうなんだなあ、と。私もシングルマザーなんで、シングルマザーが国から経済的にいじめられてるっていう状況は知ってたんですけど。

 私は少し前に、「ベビーシッター費が仕事上の経費で落ちない」っていうのを知って。それで、追徴課税をえらいとられたことがあったんです。それは、預ける費用も国が認めてくれないってことじゃないですか。「預けて仕事をするな」っていわれてるんだと思うんですけども。保育園代も多分落ちないんじゃないかと。(くらたまに)落ちます?

くらたま 落ちないと思います。

春菊 落ちないですよね。「それは個人的なこと」って言われるんですよ。「私のベビーシッターの人は、アシスタントや仕事全般、手伝ったりしてくれてます」って言ったんですけど。それでも「領収書がベビーシッター会社の領収書なので認めません」って言われたんですね。そのあとはもう、ベビーシッター会社という領収書が残らないように。なるべく子どもが大丈夫なスタッフに頼むようにしていて。何が仕事だか分からないくらい、子どもの世話もしてもらってるんですけれども。そうじゃないと、仕事できないですよね。どこかしら、みてもらわないといけないので…。

くらたま さっき「価値観」と言われてなるほどと思ったんですが。私がまず一番に思うのは、「愛情」のことなんです。「子どもに対して愛情をかたむけてくれるか」というのが先にあるので、価値観うんぬんはまた次の話ですね、私は。

春菊 ああ、そうですよね。私のところは、まあ、親と絶縁してるから分からないんですけど、3回目の結婚相手の親は、「預かるわよ」ってよく言ってくれてたんですよ。で、「愛情」もあったと思う。でも「価値観」という面ではぜんぜん合わなくて、「向こうの親と縁を切りたかったから離婚をした」ので、相手の男はまだうちにいるわけで…。

 

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ジョリヴェ 実は、私が今日ここに来たのは中村うさぎさんに非常に興味があったんです。・・・彼女は、「あるがまま」でとても幸せなのよ。そこがおもしろい。いけないと思いつつもお金を使って、それがとても楽しいから治そうとしない。・・・

 ・・・

 フランスで依存症の作家というと、サガンとデュラスね。

 サガンは、18歳のときにベストセラー作家になって、お金持ちになった。それを、全部使った。彼女がノルマンディーに買った小さな古い館は、お金のために15回も売ったり、買いもどしたりしている。15回は多いですよね。彼女はギャンブル依存症、アルコール依存症、ドラッグ依存症、スピード依存症。でも彼女、寿命は短かったけど、たぶん楽しく生きたのね。69歳で彼女が亡くなったときに、財産は1円も残ってなかった。

 デュラスのほうは、彼女のお母さんを含めて、彼女の家族の人たちが、すべておかしいんですよ。「家族の機能」の恐ろしさを感じる。デュラスはやっぱり、アルコール依存症で、最後のパートナーはゲイだった。

 ・・・

 だけど、私が思ってるのは、そういう人が一番才能がある。彼女は問題だらけ。でも、そのせいで作家としてはすごくおもしろい。彼女には「表現すべきこと」がある。「だから依存症を治す必要がなかった」というひとつの例ですよね。

うさぎ あたしの場合は本当に、買い物依存じゃなかったらいまのあたしがいたかどうか分からない。はっきり言ってこのネタで相当食わせていただいたので(笑)。

 買い物依存が治りかけたときというのがありまして。シャネルにもエルメスにも本当に行かなくなっちゃって、ブティックで買い物するのが快感じゃなくなっちゃったころ、本当に焦ったんですよ。「あたし「買い物依存」じゃなくなったら、もう仕事なくなるだろう」って。そしたら意図的ではなく、たまたまホストにハマってしまい(笑)。まあ、その後「依存症の渡り歩き」っていうのを、美容整形にいたるまでやっていくわけなんですけれども…。

「「依存症」だったから稼げた」というのは、まぎれもない実感です。こんな薄っぺらい言い方をして恐縮なんですが、やっぱりある種の「個性」ではあるわけじゃないですか。あたしが「買い物依存」でエッセイを書きはじめた当時は、ライトノベルの作家だったんですけれども。ある日編集者と飯を食いながら、「あたし、今日シャネルとか着てるじゃないですか。家帰ったら水道とガス止められてるんですよ」って言ったら、編集者がものすごくびっくりして、「なんでそれをエッセイに書かないんだ!書け!」みたいなことになった。「あまりにもバカバカしすぎて、こんな人周りにはいないので」って、編集者は言うんですよ。編集者の周りにはマトモな社会人が多いので、ガスとか止められてシャネルの服着てる女なんていないワケですよ。でも、この会場にいらっしゃる方々は、分かってくれると思うけど(場内笑)。

 ・・・

 それでも、あたしがなにかしらの自信をもって言えるのは、いつか「気が済む」んですよ、人間て。「憑き物」みたいなのが、勝手に落ちちゃう時期が来るんです。来ないんじゃないか、と思うから怖いんですよ。「買い物地獄」とか「リスカ地獄」とか「摂食地獄」とか。「この地獄はあたしが死なない限り終わらないんじゃないか」って。

 ただ、人間そんなに「継続力」のある人っていないんです。なんだかんだいっていつか飽きたりとか、気が済んだりとか、バカバカしくなったりとか、疲れちゃったりとか、体力なくなっちゃったりしてね、ポコッと止む時期が来るんです。まあ。その代わり別のものに依存しちゃったりするんだけど(笑)。前よりはましなものに依存する、とかね!

 ・・・

春菊 うさぎさんの買い物依存は、何年くらい続いたんですか?

うさぎ うーん、33歳から38まで。5年くらいじゃないですか?あと、ホントにねえ「買い物」がイヤになった理由はもうひとつあって。「書く」じゃないですか。で、書いたのを読んだ人とか、テレビに出ろとか言う人がいるわけじゃないですか。そういう人がね、あたしが「次に何を買うのか」を、「期待」するようになったの!・・・

「うさぎさーん、こんなのどうですかー?」とか、「エルメスのバーゲンなんだから、もっとでっかく買いましょうよ」とか、「お前らの金じゃねえだろ!(怒)」みたいに、ハラたってきて!(場内爆笑)

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くらたま さっきから私、疑問に思ってることがありまして、うさぎさんにうかがいたいんですが。お父さんがいなかったり、別の男性に育てられていたとしたら、いまのうさぎさんの感覚、価値観というものは、ぜんぜん違うものになっていると思います?

うさぎ うん。ぜんぜんかどうかはしんないけど、だいぶん違うんじゃないかと思ってる。あたし、これを「生まれ持った性格」だとは思ってないですね。

 ・・・

 ・・・「ほんとのこと言ってなにが悪いんだ!」みたいなとこ、あたしの性格にあるじゃないですか。そこは、うちの父親の口癖なんだよね。そういうような類似点をみるにつけ、私のいいところも悪いところも、父親にソックリだ、と。

くらたま それ、「遺伝」じゃないんですか?

うさぎ 「遺伝」じゃないですよ!遺伝っていうのは、「指の長さ」とかさ、「毛深さ」とか(笑)・・・「ものの考え方」とか、「価値観」っていうのは、あたしは「遺伝」だとはまったく思わない。

 ・・・

学 遺伝について、臨床医としての推測からすると、・・・

 ・・・私は大雑把に言って、素因:学習が2割:8割だと思ってます。しかし、「どういうふうに生きるか」みたいなこととか、ある事件に際してどう対応するかというようなことは、「学習」して身につけるしかない。・・・