こんなに食べたり飲んだりできるって丈夫だなー、そんなスケジュールで動けるって元気だなーと、あまりにも違う世界を楽しめました(笑)
P127
私の友人が言った。ヘルスメーターにはのらないと。
「どうして朝からイヤな気分にならなきゃいけないの⁉」
あっぱれである。
私もそれにのっとって、だらだら食べヘルスメーターにのらない日が、もう一ヶ月続いている。毎日好き放題食べて、このあいだは何年かぶりに氷あずきを食べた。
ちなみに一緒に氷を食べた、元プロテニスプレイヤーの友人は、何十年ぶりかに食べたそうである。それだけ糖質たっぷりのすごい食べ物だったのだ。
しかし反省の日はくる。
おとといのこと、人気の焼肉店に男女四人で行った。そしてシャンパン一本と赤と白のワインを四本飲んだ。
「最高級のお肉をお願い」
と言ったので、サシの入ったすごくいい肉がいっぱい出てきた。かなり脂がのっている。
それを赤ワインでじゃぶじゃぶ流し込むように食べる。
みんなの話は面白かったし、盛り上がった楽しい夜である。
しかし、やはり私はしてはいけないことをしてしまったらしい。かなりお酒が強いと自他共に認める私であるが、明け方、吐き気で目が覚めたのである。
ものすごく気分が悪い。重度の二日酔いである。トイレでゲーゲーやろうとしても、ふだんそういうことをしたことがない私は、ストッパーが働く。ゲロしちゃいけないと、体が働くのだ。
よってすごく苦しい。ベッドの上でのたうちまわった。
週に六日も外食する人っている?しかもなかなか予約がとれないおいしいとこばかり。
月曜日フレンチ、火曜日イタリアン、水曜日お鮨、木曜日焼肉、金曜日懐石……という信じられない生活をしている。お酒もいっぱい飲むし、これで太らない方がおかしい。
外食はお金だって遣う。おごられることも多いけれど、その倍以上、人にご馳走している。
お金遣って体重増やして、ゲーゲーやって、―あぁ、私っていったい何をしてるんだろうか―反省のあまり涙が出そう。
早朝からベッドの上でのたうちまわり、午前中のジムのパーソナルトレーナーをキャンセルした。その後に会議がひとつあるが、問題は夜のカウンター懐石である。
「体調悪いから行けなくなった」
と連絡すればいいんだろうけれど、当日のドタキャンは、いちばんしてはいけないことであろう。それにそのカウンター懐石は、東京でいちばんおいしいと有名なのだ。予約は今年いっぱいムリなんだそうだ。
そんなお店をどうして断ることができるだろうか。
午後になったら少し具合がよくなり、八重洲で行われた会議に出席。しかしまだ迷っている。
「コース料理を食べる気力、体力があるかなぁ……」
時間があったので、とりあえずマガジンハウス近くの喫茶店へ行き、担当のシタラちゃんを呼び出した。そこでイラストを描き、いろんなお喋りをした。
「うちの大学生の娘、突然八千円くれって。眉のエステに行くんだって。そんなとこあるんだねぇ」
そうしたら彼女は、もちろんと大きく頷いた。
「眉っていちばんトレンドが出ますからねぇ」
・・・
「ハヤシさん、今はアートメイクがすっごく流行っているんですよ」
シタラちゃんはスマホを見せてくれた。
「これはコースで十万円くらいです」
「十万円!」
あまりにも高い。自分で描いてれば済むことではないだろうか。
「だけどこんなにうまく綺麗に描けますか」
確かに一本一本、毛の流れに沿って描いていてとても自然。
「このサロン、行く、絶対に行く」
と騒いだら、シタラちゃんは冷静なことを言った。
「だけどこのアートメイク、一週間は濃くってイモトになるそうですがいいですか」
それはちょっと……。オバさんがイモトの眉になったら、とんでもないジョークだ。まだデブの方がいいよねーと私は笑い、それですっかり元気になり、カウンター懐石の店へと向かったのである。
