違う文化や価値観に触れると、何かが軽くなる感じがします。
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ノルウェーの人は「働きすぎない」ことが上手。帰宅のラッシュアワーは14時半には始まり、週末や長期休暇中は仕事をいっさいしません。そもそも夕方以降や週末にビジネスメールを送ると「仕事ができない人」と誤解されるリスクあり。「出張中・休暇中なので○日まで返信できません。緊急なら電話ください」という自動応答メールは日常茶飯事。快晴という理由で社員に早めの帰宅を促す上司もいます。
なぜ休みにこだわるのか。休んで脳を休憩させる人のほうがパフォーマンスもよく、家族や自分の時間も大切にできるからです。夏休みやクリスマスは家族と過ごしたいから、それまでに必死に仕事を終わらせようとします。首相も閣僚も休みは当然のように取るため、夏休み期間の国会は静か。それでも社会はしっかりと機能しています。
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1917年の独立から100周年の年を迎えるにあたって、続々と新しい施設がオープンしたヘルシンキにおいて、最もサプライズだったのが、2014年に開業した観覧車スカイホイール ヘルシンキ。地上40mの高さからヘルシンキ大聖堂やウスペンスキー寺院を見下ろせ、天気がよければ、世界遺産のスオメンリンナの要塞群も望めるそうです。
さらに2016年には、ゴンドラの一つがまさかのサウナ付きに。この「スカイサウナ」は世界初なのですが、「エアギター世界選手権」などのクレイジーなイベントを考えつくフィンランド人ならではといえるでしょう。スカイホイールですが、地上から眺めても、太陽光が青色のガラスを透過してとても美しいのです。乗車した人からは、すべての写真が青くなる、というもっともな不満の声も聞かれたそうですが……。
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「平等であること」を大切に考えるスウェーデンでは、何かにつけて「列に並ぶ」ことがあります。スーパーの魚売り場、病院や薬局では、整理券をもらい対応してもらえるのを待ちます。駐車場、幼稚園、学校も列に並んだ順にオファーが来て、そのタイミングで受けるかどうか決め、断れば次の者に順番がまわってくる。たいがいこの仕組みで納得できても、多くの人を悩ませるのが住宅問題です。
人口急増中のストックホルムでは、賃貸アパート不足。順番待ちは平均8~10年で、市内では20年待ちもあり得ます。ストックホルム出身者は、子どもが生まれたらすぐに賃貸の順番待ちに並ばせ、成人する頃に借りられるようにしておきます。しかし、ほかの都市や海外から引っ越してきた人は列に並んでいる時間はないので困り、「平等とは?」と疑問に思うのです。
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夫の会社を訪問。素敵なオフィスの中でもとりわけ驚いたのが、オフィスで一番大きな面積を占めているであろうアクティビティルーム。ここには、卓球台、ビリヤード台、ブランコがあり、そして映画館のような巨大スクリーンでは、マリオカート対決をしたりするそうです。休憩時間の気分転換に、アフターワークにビール片手に、みんなで楽しむのだそう。
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友人がまた一人、アヴァントの誘惑に負けてあちら側に行ってしまいました。冬に凍る湖や海。その表面に穴(アヴァント)を開けて湖水・海水に入るAvantouinti(アヴァントウインティ)。いわゆる寒中水泳に近い習慣です。
フィンランドのアヴァントウインティ人口は72万人規模ともいわれ、「あちら側」は非常ににぎわってるようです。サウナであたたまったあとにぽちゃっと浸かる程度は気負いなくできるのですが、寒い外気を感じながらそのまま服を脱いでアヴァントにザブンと入るほどの勇気はありません。最近、毎朝のように近所の海に通い出した友人によると「最初は一瞬冷たいけれど、アヴァントから出たあとのすっきり感が病みつきになる!」と。ストレスがすべて流れて全くイライラしなくなったのだそうです。ものすごい誘惑を感じます。
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ノルウェーでは「結婚しない」「子どもは作らない」という人が増えており、「でも一人は寂しいから」と、ほかの人との共同生活が広がりつつあります。現地では「コレクティブ」ともいわれる暮らし方ですが、「若者だから」「物価の高い国で生活費を節約したいから」とは限りません。
「自分一人の時間は楽しいけれど、時には台所で誰かとおしゃべりしたい」「家族は作らなくてもいいけれど、たまに孤独を感じることもある」という人たちが、ともに暮らし始めているのです。
高齢者と若者が共同生活する住居もあります。コミュティのような暮らし方なので、旅行中のペットの世話や話し相手など、何かあるときはご近所とのつながりも保てます。これからのライフスタイルとして、さらに定着しそうです。
