阿川佐和子さんの人生相談を読みました。
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―阿川さんも、そういう悪口で絆が生まれたご経験が?
阿川 もちろん、ありますよ。食事会である「人物」の話をしているうちに、そこに集まっている女性陣がみんな、同じように「嫌なヤツ」と思っていることが発覚した途端、盛り上がって盛り上がって、気づいたら、その「人物」の話題だけで2時間半経っていた。そのとき私、感動したんです。「2時間半も盛り上がれる話題を提供してくれるその『人物』は、もしかして偉大な人なのではないか」ってね。
この人の話題がなかったら、「何の化粧品使ってるの?」とか「え、そのお洒落なピアス、どこで買ったの?」なんてたわいもない話で、さして興奮することもなく「仲良くなったな」という実感もおぼろげなまま、さらりと終わっていた食事会だったはずです。
でも、そのとき、さんざん悪口を言い尽くしたら、疲れちゃってね。そのあと、「自分はなんて下劣な人間だろう」ってことに気がついた。そうしたら、さらに気が晴れていましたね。吐くだけ吐いたらイライラが収まったし、興奮して悪口を言っているうちに、もしかしたら自分たちにも非があるのではないか、という気持にもなった。少なくとも品性はないものね、他人を罵倒し続けるという行為は。人の陰口を言って時間を費やしてキャーキャー喜んでいるうちは、ロクな人間にならないぞって。自分に嫌気が差したんです。
でもいっときの発散は必要なのよ。一度、爆発しておかないと、そういう境地には至らない。発散といっても、今どきのSNSを使って悪口を拡散するとか、そういうのは卑怯だと思いますよ。だからほんの内々で。ほんのひととき。
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どう気を晴らすか、その方法を自分で決めておく。そして不満を溜めているのは自分だけじゃないことを知れば、勇気を得ると同時に、少し冷静に考える余裕も生まれると思いますからね。