さらにつづきです。
P130
中心になって話をしてくれたスピリットは、名前をコーリと言った。
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人間じゃないとわかっていても、人間のように考えたほうが説明しやすい。ほんとはコーリもぼくと同じように光のエネルギーなんだけど、ぼくが感じるところでは、彼女は長いブロンドの髪を後ろで束ねていて、目はブルーだった。化粧はしていない。同じ年ごろの女の子に見えるのに、話を聞いていると、百歳の老人の知恵をもっているようにも思える。
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まずコーリは、ぼくの死の瞬間に何が起こったかを、一緒に振り返った。
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さらにコーリは、肉体が死んだからといって、もう存在しないことにはならないと言った。
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それからコーリは、ぼくがこちらの世界へ移行して以来、ずっと確信がもてないでいたこと―いまのぼくは、光のエネルギーのようなものでできていること、脱ぎ捨ててきた肉体は殻のようなもので、ぼくが人間としてのすべての体験を通過するために運転してきた車のようなものだということ―を確認させた。そして、ぼくが死んだ直後からいくつかの次元を通過してきたのだと、教えてくれた。
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ぼくは、みずからいのちを絶った。それは地球では悪いこととされていたから、ぼくはコーリから批判されるんじゃないかと思ってた。それで、コーリがつぎに何を言うのか不安だったんだ。ぼくの不安を感じとったらしく、彼女は、こちらの世界には自殺という言葉は存在しないと言った。そして、こう説明してくれた。
どうやってこちらの世界へやってきたかは問題じゃない。それも死の一つの形なんだ、って。実際、死は誕生に似ている。頭から先に生まれようと、逆子だろうと、帝王切開で生まれようと、生まれてきたことに変わりはない。
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つぎにコーリは、地球での人生に関する、いくつかの「なぜ」に対する答えとその意味を見つける手助けをしてくれた。ぼくが、なぜああいう人生を選択して生まれてきたのかってことを話し合ったんだ。
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ぼくがコーリから学んだのは、こちらの世界での選択には、地球でするようなたぐいの選択と、それとはまったくレベルの違う選択の二種類があるってことだ。
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・・・もう一つ、魂のレベルで行う選択があるんだ。
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コーリは、選択について説明したあと、ぼくが地球に生きていた間に、ぼくの魂が何を求めていたか、そしてそれがなぜ重要なのか、を話してくれた。
「エリック、あなたの魂は、人間関係について学びたいと思っていたの。人間関係は、魂が地球上で経験できることの中で、もっとも豊かで、もっとも重要なものよ。そして、あなたがその人間関係の中で体験したことすべてを振り返れば、人生への理解を深めることができる。それは、あなたがこちらで過ごすうえで、大きな意味をもつことになるわ」
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ぼくは、自分が若くして死んだ理由をコーリとたくさん話しあった。
人がみずからいのちを絶つと、たいてい卑怯か怠慢かのどちらかと見なされる。
自殺した本人は「もっとがんばって生きなかった」から卑怯ということになり、周囲の人はサインに気づいて思いとどまらせられなかったから怠慢ということになる。
・・・ぼくはそれを正しいとか間違っているとか言うつもりはない。・・・ただ、ぼく自身には卑怯も怠慢も当てはまらないってこと。
みずからいのちを絶つのがぼくの運命だったというつもりもない。たしかに、ぼくが地球から退場したことは、たくさんの人にいろんな影響を及ぼしたけど、かならずしも悪い影響ばかりじゃなかった。・・・
若者がみずからいのちを絶つと、ことさら悲劇的にとらえられる。世間の注目を集め、あれこれ疑問が投げかけられる。
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ぼくに必要だったのは逃げ出すことだった。だって、ぼくの脳は、地球での人生を生き抜くのに必要な働きをしていなかったんだから。
でも、いまのぼくは、はるかに充実した人生を送っている。こんな生き方は肉体を持っていたときには不可能だった。もう一度念を押しておくけど、何もぼくは、どんな境遇でも甘んじて受け入れろ、闘うなと言いたいわけじゃない。
あくまでも闘うべきだし、実際のところ、ぼくだって闘った。ただ、ぼくの場合は、結果としてこうなってよかったと言いたいだけなんだ。
P163
こっちの世界のマニフェステーション(願望実現)が、どんなものかを説明するのは難しい・・・。
しいて言えば、白昼夢のようなものだ。
でも何が白昼夢と違うかというと、頭の中にとどまっているだけじゃなくて、それが現実に出現するということだ。何もしなくていいわけじゃない。
・・・何かを考えたり、夢に見たりするだけで、それが現実になる。
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思考ってのは、すべてのものがそうであるように、じつはエネルギーなんだよ。
スピリットは人間に比べれば簡単に、その思考エネルギーを操ることができる。
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最近わかったのは、もしぼくが美しい公園をつくったとして、たくさんのスピリットがその公園を気に入って、さかんに利用したり、その公園のことをいろいろ考えたりすると、公園の形でエネルギーは存在しつづけるってことだ。
多くのスピリットが何かに意識を集中させればさせるほど、その何かはこの世界により安定した形で存在するようになる。ときには、ほかのスピリットたちと協力して、みんなが望むものをつくり出すこともある。
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それから、地球の人間にとっては重要でも、こっちには存在しないものがある。
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病気を治療する必要はないから、ここには病院もない。
でも、エネルギーを修復するためのヒーリングセンターはある。心に傷を残すような形でクロスオーバーした人や、移行(トランジション)のとき、ふつう以上にケアを必要とする人のための施設だ。・・・
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スピリットは、みな仕事をもっている。まえに言ったように、ぼくはスピリットガイドで、この仕事のために、つねに新しいスキルを学んでいる。
・・・それから、先生をしているスピリットも、ヒーラーをしているスピリットも、いわゆるライフコーチみたいなことをやっているスピリットもいる。
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こっちのスピリットたちは、ラッキーなことに、地上の人間とは違って生活のために働かなくてもいい。・・・まえにも言ったけど、こっちの「仕事」は魂という内なる要因に導かれて決まる。
ぼくはスピリットとしての仕事に満足している。
自分の仕事に満足しているって、すごく重要なことだ。
幸福をもたらすのは、真の情熱とほんとうの自己愛であって、富でも名声でもないってことをぼくは知った。・・・
P274
みんなが信じてくれることがぼくの心からの願いだ。ぼくは、まだ別の次元で生きている。
これはすべて現実なんだ。そのことを一番信じてほしかったのは母だ。
ぼくが死ぬまで、母は死後の世界の存在を信じていなかった。
でもぼくが死んでからは、信じざるをえなくなった。疑う人から信じる人になるまでの道のりは、母の魂が結んだ契約の一部なんだけど、それと同時に、母にとっては生きるか死ぬかという重要な意味をもっていたんだ。
もしぼくが「よし、とりあえずとなりで見守っていよう。きっと母さんは自分で答えを見つけるさ」なんてのんきに構えていたら、とんだ間抜けだっただろうね。でもそうじゃなくて、ぼくは母の苦しみのすべてをともに味わった。
いまもその感覚は残っている。めちゃくちゃつらい。
でも、母とぼくの苦しみはものすごい刺激にもなった。ぼくのモチベーションの多くは、悲しみと折り合いをつけられるように母の力になりたい、目に映るものだけがすべてじゃないってわかってほしいという気持ちからきている。
母は長い間、自分の目で見て、鼻で嗅いで、指で触れるものしか信じないタイプの人間だった。ものごとにはかならず科学的な根拠があると考えるタイプ。
でも、ことスピリチュアルに関しては、かならずしもすべてを実証できるわけじゃない。
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そういうわけで、ぼくがやったのは、母が信じているものを利用するという手だった。
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・・・地球でいえば二、三ヵ月たったある日、・・・ぼくは、母の注意を引きたくてしかたがなかった。・・・
ぼくは、自分自身が一種の電流みたいなものだから、電流をいじるのなんて朝飯前。自分のエネルギーを電気エネルギーとミックスさせて、電話機に入り込んで操作すればいい。
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いじったのは通話機能のみだ。電話がつながったとき、ぼくはスピーカーごしに「母さん、ぼくだよ、エリックだよ」と言った。母はすっ飛んできて受話器を取り上げたけど、間に合わなかった。でも母にはぼくだとわかった。
・・・表示された発信者番号が十二桁なのを見て、変だと思ったろうね(*訳注:アメリカの電話番号は十桁)。母はその番号にかけ直したけど、つながらなかった。着信履歴の表示も「0件」。着信履歴に残っていないのに、どうしてぼくの声がスピーカーから流れたのか、母には訳がわからなかった。
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・・・聞くところによると、スピリットの多くは人間の夢の中に入っていって、素晴らしいコミュニケーションをとるんだって。でも、ぼくは嫌だ。そんなんじゃ、なかったことにされるかもしれない。「なーんだ、夢だったのか」って。
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・・・ぼくが気に入っているのは電気を使ういたずらだ。テレビやいろんな家電製品やコンピュータの電源を入れたり切ったりする。
母にかけたように電話をかける。ブログメンバーにやったようにラジオで特別な曲を流す。それから、プレーヤーの再生リストを入れ換えて特別な曲が再生されるようにする。
その曲がメッセージを運んでいるみたいに特別な意味を感じてくれたらうれしい。
どれもエネルギーの構造を変えればできることだ。さっきも言ったように、電気エネルギーはスピリットのエネルギー体とよく似ているから、とても扱いやすい。
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また、ぼくは物体を動かすこともできる。これはそれほど簡単じゃない。
人間がコーラの缶を指で押して、カウンターの上をスーッと滑らせるようなわけにはいかない。まず、缶の周りのどこか一ヵ所の周波数を下げたら、その部分のエネルギーをぼくのエネルギーで前に押し出す。・・・
そして、そのエネルギーの周波数を下げて高密度にし、地球上の物質の周波数に合わせる。こうすれば、少なくとも同じくらいの密度の物体なら動かすことができる。・・・
いつだったか母が友だち数人とメキシコ料理のレストランで食事をしていたとき、ぼくは、塩とこしょうの入れ物をテーブルの上で滑らせたことがある。・・・
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物体を天井から落とす方法も覚えた。
いきなりおもちゃのBB銃を母親の目の前に落としたこともある。そういうとき、ぼくは思考エネルギーでBB銃を出現させて、地球のBB銃と同じ周波数まで下げてやるだけでいいんだ。
その周波数がエネルギースペクトルの可視領域まで下がったら、母の目に見えるようになる。
母はすぐにぼくのしわざだとわかって喜んでくれた。・・・