妊活ダイアリー Fromブス恋

妊活ダイアリー Fromブス恋

 夫目線で、妻の大島美幸さんの、妊活にいたるまでの話から、出産までを綴ったエッセイ。

 いい夫婦だなーと思いました。

 

P57

 妻はある本で、「赤ちゃんは空にいて、子供が空から親を選んで降りていく」というような素敵な文章を読んだらしく、だから見た目を女性らしくしようと思い、髪の毛を伸ばして、洋服も女性に見える服にしているのだとか。

 そして、毎朝、空に向かって窓を開けて、前髪をあげて「お母さんはここだよ!」と言っているらしい。降りてきてもらうために。

 そんなことまったく知らなかった。妊活休業に入り、今までは全て芸人目線で生きてきた妻が、今は母親になる準備をしながら、女性としての目線で生きている。

 よく、「変わる」と言うけれど、「変わる」ためには「変える」ことが必要で、「変える」ためにはいろんな努力が必要なんですね。努力して変えようとするから、変わる、変われる。

 そんな妻を見ていて、改めて、自分ももっと妊活している妻の夫として「変えなきゃ」と思ったりして。

 変えよう。変わろう。

 

P88

 2013年4月。舞台が終わったばかりの妻と久々に御飯に行きました。妻に「話がある」と言われていました。一体なんの話なんだろう?・・・「『24時間テレビ』のマラソンランナーの話が来たんだけど」と言いました。・・・まさか、まさか、まさか自分の妻に白羽の矢が立つなんて。だって、妻の体重88キロですよ。太っているんですよ。そんな妻にマラソンランナー??一体どんなつもり?っていうか、そんなオファー、断るでしょ。僕は言いました。「断ったんでしょう?」。すると妻は言いました。「やるよ」。覚悟の目。・・・

 ・・・

 妻はテレビで言っていました。走る理由。「私は太っています。最初から出来ないよというのも嫌なので」と。「24時間走ったら何が見えるんだろうか?太っている人が一生懸命頑張ったらどうなるんだろう?」と。

 タニタのダイエットで5キロほど痩せたものの、2年で見事にリバウンドどころか、元の体重を超えてしまった妻。そんな妻が走るためには、かなり痩せなければならない。おまけに筋肉もつけなきゃ膝が壊れてしまうだろう。

 僕が妻からの衝撃の告白を受けた時は完全決定ではありませんでした。メディカルチェックというものがあります。身体的にマラソンに耐えられる体なのかどうか検査をするのです。・・・

 検査が終わって、妻が検査結果を伝えてきました。検査した人曰く、妻の心臓を診て「48時間走れる」と言ったらしいです。心臓、強~~~~い。問題の膝。膝の検査が終わって言われたらしいです。「膝美人」。ランナー決定―!!

 

P106

 ・・・やはり思うことは、夫婦にとって一番大切なのは価値観です。自分が大切にしている価値観が一緒だとその夫婦は仲良くなれる。一緒にいられる。

 初期の『ブス恋』の時から書いてますが、やはり、結婚して最初の頃に思ったこと。「この妻となら、もし、将来ホームレス生活になったとしても笑ってやっていけそう」という思いでした。

 やっぱりね、僕みたいな仕事はね、今は仕事はあってもね、急になくなっちゃう人もいてね。不安なんです。明日から仕事なくなったらどうしようって本気で考える。何が起きるか分かりませんから、人生は。

 でもね、結婚してから楽になれた自分がいるんですね。最低に格好悪い自分もこの人にだったら見せられるなってね。今の俺、こんなに格好悪いけどいいかな?って。プライドを捨て切った最高に恥ずかしい自分。いうなれば、お尻の穴ですよ。お尻の穴状態の自分を見せられる。

 そう思ったのが結婚1年目。あれから12年経って、今もその思いは変わりません。

 お金があったらありがたい。お金がなかったら仕方ない。その状況で笑っていこう、いつまでも。という価値観が一緒。これは楽ですよね。