5000グラムで生まれた女のちょっと気ままなお話

一週間、伊豆のやすらぎの里に断食に行ってきました。

今回も心身ともにすっきりできました♪

ブログ再開します(^^)

 

5000グラムで生まれた女のちょっと気ままなお話(ヨシモトブックス)

南海キャンディーズしずちゃんのエッセイ、おもしろかったです。

 

P13

 ・・・酔っ払った父には変な一面があった。

 レコードでエルビス・プレスリーを流しながらパンツ一丁で踊ったり、ギターを片手に突然歌いだしたりしていた。シラフの時からは想像ができないが、紛れもなく同一人物。しつけに厳しく、食事中にしゃべらせてくれない人が、自分はパンツ一丁で踊るなんて……。

 ・・・

 子どもの頃は、とにかく「厳しくて怖い」と思っていたけれど、今振り返ってみると実はひょうきんな人だったとわかってきた。

 そして、いま私が芸人の仕事をしているのは、父のひょうきんな部分を受け継いでのことかもしれない。別人格のような二面性をもっているところにも、身に覚えが……。

 ・・・

 私がボクシングに夢中になり始めて、芸人の仕事の割合が減ってきた時のこと。いつかボクシングをやめた時、また芸人の仕事に戻って来られるか不安だった。

 その時、父は言った。

「親のところには、いつ戻ってきてもいいんだぞ。でも、また芸人の仕事がやりたいんやったら、求められる場所がある限りやればいい。大事なのは、人に感謝すること。それだけ守っていれば大丈夫」

 

P164

 ずっと仲が悪かったし、下積みがないまま世に出てしまって、知名度に見合うだけの実力も自信もなかった。一気に何本もネタをやったこともない。

 だから私は、酒をやめた。「え、努力するのそこ?」と思われるかもしれないけど、「これをやったぞ」という自信をつけるために選んだのが断酒だった。

 ・・・

 単独ライブは、1日2公演を2日間やったので、全部で4公演あった。

「やってみないとわからん。全部ダダ滑りするかもしれない……」

 当日までそんな気持ちでいたけれど、最初の公演の最初のネタで、笑ってもらえた。

「あ、ウケた」

 そう思えてから、少し安心してネタをすることができた。お客さんがめちゃくちゃあったかい。山ちゃんのラジオのリスナーさんもたくさん来てくれてる。

 やればやるほど、「楽しい‼」という気持ちが溢れてきた。

 単独ライブをやってよかったのは、ネタで遊べるようになったことだ。南海キャンディーズの場合の「ネタで遊ぶ」とは、山ちゃんがネタから脱線してアドリブで相手に無茶振りしたり、わざと滑らせて、それを拾って笑いに変えたりするようなこと。・・・2人でしかできないような、ふざけ合って遊んで、笑いに変えるやり取り。

 私はこの「ネタで遊ぶ」に長年憧れを抱いていた。

 ネタで遊ぶことは、相手に愛情がないとやる気にならないし、信頼がないと「滑ってもなんとかなる」と思えない。仲が悪いとできないのだ。

 これまでは、私が滑ったり、グダグダになったりすると、山ちゃんは「なんだコイツ」といった嫌な表情を見せていた。でも今は、グダグダも面白いと思ってくれているようだし、きっと笑いに変えてくれる。南海キャンディーズでしか成立しない関係性の見せ方ができるようになった。

 

P182

 思い返せば今までめちゃくちゃ好きになったのは、旦那さんを除くと、このセミの彼と、学生時代にストーカーをしていたバンドマンの彼、この2人だけかもしれない。

 よく、告白する勇気がないという話を聞く。だけど、「絶対にこの人がいい!めちゃくちゃ好き!」と思える人ってめったにいないので、出会ってしまったら告白せざるを得ないと私は思う。怖いとか、「振られたら友達じゃなくなるかも」っていう不安を飛び越えて、言いたくてしょうがなくなるのだ。

 それから私は、好きな人から影響を受けがち。バンドマンの彼の影響で聴き始めたブルーハーツは、今でも大好き。それでつながった音楽関係の人たちもいる。

 セミの彼は、いつも周りに大勢の人がいるタイプだった。ボランティア活動もしていて、自然と人が集まってくるような人だ。私がいろんな人を集めたり、友達同士を紹介したりするのが好きなのは、セミの彼の影響だろう。

 こんなふうに、恋愛での経験が、私の人間関係にいい影響を与えている。

 

P196

 私は、人との出会いでしか人生は変わらないと思っている。思いもよらない出会いから、思いもよらない方向に人生が転がっていくのが、面白いのだ。

 山ちゃんとの出会いも、実は最初から「この人だ!」とピンときていたわけではなかったし、仲が悪い時期もあった。それでも今振り返ってようやく、「本当にいい出会いをしたな」と思えている。

 ・・・

 私は今、「これをやらずに死ねない」と思うことは特にない。新しい何かを始めたいという気持ちは今のところはあまりなく、今までに積み重ねてきたことをこれからもやり続けたい。

 ただ、お芝居でいえば、今までは私のイメージに当て書きした役をいただくことが多かったから、全然違う自分っぽくない役をやってみるのも面白そうだなぁと思っている。すっごく性格の悪い嫌な奴とか、頭のおかしいサイコパスな犯罪者のような、演じるのが難しそうな役柄だ。

 私は、「どうなるかわかんないけど、やってみようかな」と勇気を出して一歩踏み出す生き方をずっとしていきたい。面白く生きたいんだと思う。