ChatGPTについて知らなすぎるので読んでみました。
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ChatGPTの「GPT」とは、Generative Pre-trained Transformerの略称ですが、このうちの「T」が、まさにGoogleのTransformerにあたります。その技術を駆使して、大量の文章データを事前学習したAIがGPTなのです。2018年にはAIの研究・開発を行う当時非営利団体だったOpenAIがGPT-1をリリース、またTransformerの開発元のGoogleもBERTというAIのモデルを発表しています。
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AIの知性を判定するための基準として、「チューリングテスト」という方法があります。イギリスの数学者アラン・チューリングが考案した試験で、一般には「人間と機械が文字を使って会話をし、会話の相手が機械であることを人が見破ることができないのであれば、その機械は人と同等の知性を持つと見なせる」というものとして知られています。
ChatGPTはこのチューリングテストをクリアした状態、つまりChatGPTであることを隠して人間と会話をさせれば、相手はそれがAIだとは気づかない段階にまできていると言っていいでしょう。
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ChatGPTに付加的な機能をつけることができるプラグインを用いれば、生成した文章を一瞬で画像入りのわかりやすいスライドにしてくれます。文章作成、エクセルの表計算やグラフ作成、発表用のスライド資料など、すべてAIで賄うことができるのです。
そのうち、現在のホワイトカラーの平均的な労働者以上に上手に素早くこなしてくれるようになるでしょう。人に頼むよりAIにやってもらったほうがいいという状況です。ビジネスシーンにおける生成AIは、非常に優秀なアシスタントというイメージかもしれません。頼めばなんでもやってくれる有能な部下であり、秘書であるような存在です。・・・
2022年にGPT-3.5が登場してから、まだ1年も経っていにのにもかかわらず、その技術進歩は目覚ましいものになっています。このまま2~3年経ったらいったいどうなってしまうのか。「2025年にシンギュラリティが訪れる」と落合陽一さんが言っていたことは、そんなに大袈裟な話ではないと、私自身も思うようになりました。
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実際のところ、ChatGPTの操作はとても簡単で、誰でも直感的に使うことができます。どうか、まずは食わず嫌いをせずに是非触ってみてください。・・・
使い方としてはアプリをダウンロードして、質問を打ち込むだけ。どうでしょうか。丁寧な答えが返ってきたかと思います。(できれば有料版で試してみましょう、無料版と有料版は性能が段違いです)。こうやって質問を投げかけたり質問の仕方を工夫したりすることで、ChatGPTは本当にさまざまな用途で使うことができるのです。
さて、この誰でもとっつきやすい生成AI・ChatGPTですが、活用にあたっての注意点も、もちろんあります。それを理解するために、まずは「ChatGPTとはどういうものか」という根本原理を覚えておきましょう。
この根本原理とは、手前の文に「確率的にありそうな続きの文字」を、どんどんつなげていくAIだということです(実際には品質向上のため、より複雑な処理も行っています)。
この根本原理を知っていれば、後に触れるChatGPTの得意なことや苦手なこと、「嘘をつく」といった特徴についても、すべて理屈で理解しやすくなります。
ChatGPTはユーザーが入力した文章に対して、大量のデータをもとにした学習から、次に来るであろう文字を予測して生成します。入力された文章に対して考えたり、意思を持って回答したりするものではありません。
例えば、「昔々」というフレーズを入力すると、最も確率が高いであろう次の文は「あるところに」だとします。「昔々、あるところに」という文章ならば、それに続く最も確率が高いであろう次の文は「おじいさんとおばあさんが」。・・・このように、確率で言葉をつなげていくのがChatGPTなのです。
厳密に言うと、ChatGPTは会話形式での応答が自然になるようにチューニングされています。また、不適切な回答をしないように教育されてもいます。・・・
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この根本原理への理解を持つことで、ChatGPTの他の特徴もどんどん理解しやすくなります。例えばChatGPTに意見や知識を求めても、前述の特徴から導ける通り、通り一遍で平凡な回答が生成されやすいものです。・・・
また手前の文に対する確率的な続きにすぎないので、その内容が真実であるという保証はありません。最も高確率に文字がつながると判断しただけですから、出力された内容が平然と嘘をつくようなものだったり、まったくの知ったかぶりだったりします。
またもう一つの特徴として、ChatGPTは世に出回ってない情報が学習範囲に含まれていません。だから「隣町に住んでいる山田さんの家族構成」といったことを聞いても答えられないのです。
加えて注意点として、インターネット上のテキストを学習元にしているため、多くの人が持つ偏見や社会的なバイアスを「確率的に高い情報」だと処理するリスクがあります。例えば「結婚式」について聞くと、「西欧式」で「男女間で」といった、多数派に偏った知識を前提にして回答する傾向があるかもしれません。こういったことには注意が必要です。
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ChatGPTの根本原理とうまく使うコツとして・・・「指示文」・・・プロンプトを工夫することによって、より高い精度での結果が得られるようになります。
例えば、最初に課題に対するベストプラクティスを尋ね、その後にそのベストプラクティスを実施するように指示すると、回答の精度が大幅に向上します。
具体的には、まず「原稿のタイトルを書くときに最も大事なことを五つ教えてください」とChatGPTに尋ねると、五つのポイントを教えてくれます。次に「それらのポイントを大切にして、原稿のタイトルを教えてください」と指示すると、ただ出力をさせたときよりも優れたタイトルを提案してくれるでしょう・・・