アフリカのことわざ

アフリカのことわざ

 

 アフリカのことわざ研究会編集、とあって、その説明を見たら、

世界各国をビジネスで飛び回り、多忙な日々を送るうちに失ってしまった「人生の楽しさ」をアフリカで取り戻した有志数名によって結成。アフリカの魅力を語るうちにアフリカ各地に伝わるアフリカにしかないことわざの存在に気づく。

 とありました。そんな経緯でこの本ができたとは・・・アフリカならではのことわざ、面白かったです。

 

P8

 バッファローに追われて木のてっぺんに登るはめになったら―景色を楽しみなさい

 

 ピンチに追い込まれても、その状況を楽しむだけの余裕があれば乗り越えることができます。

 セネガルには、似たようなことわざで「戦う者は倒れる」というものがあり、「どんなときもジタバタすすな」という教訓を与えています。

 

P34

 ニジェール川でさえ、島をよけながら流れなくてはならない

 

 ナイル川コンゴ川に次いでアフリカ3番目の長さを誇るニジェール川。本流だけで5カ国にも渡る圧倒的なスケールをもってしても、避けて通らなければならない小さな島があることから、人生においても不可避なものがあると示唆しています。

 

P40

 この腕輪が合うなら、はめなさい。痛いなら、捨てなさい。それがどれほど輝いていても。

 

 アフリカにはおしゃれな人々が多く、カラフルな衣服やアクセサリーなど、どこへ行っても美しい装いが目を惹きます。

 ただし、どんなに美しくてもフィーリングが合わないものは外すべき、というのがこの言葉。これこそがおしゃれの真髄なのかもしれません。

 

P45

 無益な日々とは笑いの無い日々

 

 喜劇王チャーリー・チャップリンの言葉として紹介されることもある言葉ですが、紛争や内戦が続くスーダン発祥のものと考えると、さらに言葉の重みを感じます。日本語では「笑う門には福来たる」、英語では「Laugh and be fat(笑うと肥える)」と言うように、笑いがある生活は世界共通の願いです。

 

P50

 ラクダは重い荷物には耐えられるが、縛り方の悪いロープには耐えられない

 

 多くのビジネスマンから、深い共感を得られそうなことわざです。

 大変な仕事には耐えられるけど、納得のいかない理不尽な指示には耐えられないもの。部下を持つ方にもぜひ噛み締めていただきたい一句です。

 

P60

 うまく踊れない人は言うでしょう、「ドラムが悪い」と

 

 アフリカのドラムといえば、木製の片面太鼓、ジャンベが有名です。音律で多彩な表現をするトーキングドラムもよく知られ、遠方との通信や踊りの伴奏に使われます。

 日本でも「下手の道具調べ」と言うように、下手な人ほど道具に文句をつけるのは万国共通のようです。

 

P79

 心配とは想像力の誤用である

 

 想像力は創造のために使うべきものであり、最も悪い使い方が「心配になること」であると説いています。

 日本語では「気で気を病む」が類似していると言えます。必要のない心配は、結局のところ自分で自分を苦しめることになるのです。

 

P82

 道に迷うことは道を知ることである

 

 この句の真意は、人に教えられた正しい道だけを歩いていても、本当に道を知ったことにはならないということ。迷いながらも自分で正しい道を見つけることこそが、本当の道を知ることであり、知識は試行錯誤の末に初めて身につく、と説いています。

 

P86

 あなたの愛を、やさしい霧雨のように、それでいて川を溢れさせるように、降らせなさい

 

 家族や友人、生まれ育った土地や国はもちろんのこと、この地球と地球上に住むすべての人々を愛で包み込むことができれば、私たち自身も幸福で笑顔になることができます。穏やかで平和な世界をイメージさせる、癒しのことわざです。

 

P118

 もし自分は変化をもたらすには小さすぎる人間だと思ったら、締め切った部屋で一匹の蚊と寝てみなさい

 

 小さな蚊でも人に変化を与えられるように、自分が小さな存在だとしても、周りの環境や世間をきっと変えられる、と説いています。ただ言葉を伝えても気持ちが届かないほど思い悩む相手に、体験を通して意味を気づかせる粋なことわざです。

 

P151

 つまずきは転ぶことでなし、一歩前進なり

 

 ちょっとした失敗を成功のための糧だと思わせてくれるポジティブな一句です。

 水や食料を取りに行くために、よく歩くアフリカの人々。歩くことがまさに生きる手段となっているからこそ、生まれた言葉なのでしょう。つまずいても進み続けようとする努力の大切さも教えてくれます。