印象に残ったところです。
P127
お金より大切なものは、たくさんあると思っている。人生、お金がすべてではない。
それに気づけたのは、皮肉にもお金を手にしてからだ。
・・・
・・・子どもの頃欲しかったおもちゃが、大人になってからはさほど欲しいと思わなくなるのと同じで、いつでも買えると思うと、人はたいして物を欲しいと思わなくなるということにも気づけた。
いま現時点で突然、「なにか欲しい!」と思うことが、まったくない。
いわゆる物欲がない、という状態だ。
そんな境遇になって初めて気づくのが、月並みな言葉だが、「人の気持ちは、金で買えないんだなぁ」ということ。
・・・
だからこそ、人の気持ちには価値がある。
・・・
「ローランドさんが独立するとなれば、地獄まででもついていきます」と言ってくれる従業員達。
「なにがあってもお前の味方だ」と言ってくれる学生時代からの親友。
そして、家族。
どれも、どれだけお金を積もうが買えない愛というものだ。
P141
俺にとって仕事とは、生き甲斐だ。自分の仕事にかけがえのない愛情を感じているし、誇りを持っている。
仕事を、生きていくための手段ととらえている人も多い。
だけど俺は、そんなふうに仕事をとらえる人間になりたくない。
「明日、私が仕事に来なかったら、宝くじが当たったと思って!」
そんな言葉を聞いたことがある。
そういう人達にとって、仕事とはお金をもらうための手段に過ぎないのだろう。
・・・
だけど、俺は違う。
きっと、宝くじで100億円当たろうが、次の日も定時に仕事へ行くだろう。金のためではない。仕事は、自分の生きるすべてなのだ。
現役ホストを引退した今、今後は実業家として生きていくだろう。
その中で一番のプライオリティは、利益よりもやり甲斐。
・・・
・・・どれだけおいしい話だったとしても、楽しいと思えなかったり、情熱を感じられない仕事は、すべて断っている。
・・・
嫌味に聞こえるかもしれないが、もうお金が欲しいという気持ちはあまりない。
あるに越したことはないが、日銭暮らしというわけではないし、お金に困って働いているわけではないからね。
だからこそ、これからはもっと楽しんで仕事をしていけたらと思っている。
P180
「貴方はそんな親からもらった大事な髪の毛、ほとんどなくしているじゃありませんか?」
ある年の正月に親戚一同で集まったとき、このローランドの代名詞とも言えるブロンドヘアに小言を言ってくる親戚がいた。
おそらく、酒に酔っていたのだろう。
「金髪にすることは、親にもらった髪の毛を粗末に扱う行為だ」と言ってきた。
それならまだしも、両親に向かって、「親の育て方が悪いからこうなるのだ!」とまで言ってきたのだ。
自分のことを悪く言われるのは特に気にならないのだが、家族のことについて言われるのは少々気分が悪い。
・・・
そんなときに言った一言が、これである。
「親からもらった大事な髪の毛じゃないか!」
というわりに、その男の頭は禿げ上がり、髪の毛はほとんど生えていなかったのである。
そんな矛盾点を、指摘して差し上げたというわけだ。
もし人に対して憤りを感じても、声を荒らげて伝えるのは紳士としては少々不躾だ。なによりそんなことをすれば、場の雰囲気が悪くなる。
そう機会があるわけでもない親戚の集まり。
この状況の中で最適な一言とは?
状況や相手の心理、ここにいるメンバー……。
俺は頭をフル回転させた。
その結果、生まれた一言だったというわけだ。
・・・
結果、めっちゃウケた。
相手には多少悪いことをしたなぁと思うが、まあ酔っていたし、覚えていないだろう(笑)。
そしてどんなときも、ユーモアを大切にすることは忘れない。
食事をするとき、仕事の話をするとき、相手に愛情を伝えるとき。
そして、このように皮肉を言うときも。
知恵と知識をフル活用して、いつも最適な一言を。
笑いがあれば、たいていのことが上手くいく。