「面白い」という視点

花緑の幸せ入門 「笑う門には福来たる」のか?~スピリチュアル風味~ (竹書房新書)

 そうありたいなと思いながら読みました。

 

P113

 ・・・皆さんにお聞きします。「悪いこと」ってなんですか?

 コップ半分の水。「なんだぁ半分しかねーや」とこれは否定的です。「やったぁ!半分も入ってる」これは肯定的です。良いも悪いも人間の見かた次第ですね。私たちの暮らす「宇宙」はどうもそういう価値観ではないようなんです。私たちも「宇宙」の一門みたいなもんですから、宇宙の感覚で考えてみると、「150㏄入るコップに75㏄の水が入っている」で終わりなんですね。これがどうも宇宙の実態のようなんです。つまり、ただそのものが存在している感じです。

 これを別のいい方をすれば、幸も不幸もない、そう思う心があるだけ。

 という物の見かたになります。

 ・・・

 シンプル過ぎて捉えにくい。それが宇宙のようです。価値観とは我々人間が勝手に付けたもの。

 ・・・

 ・・・たとえば先日・・・

 山手線に乗って高田馬場から渋谷まで行こうとしていた時のことです。

 乗車しようとする扉から車椅子の方が降りて来ようとしておりました。駅員さんが折り畳んだ板を広げて電車とホームの間に橋渡しをしていたんです。

 私はそれを見て時間がかかりそうだったので、隣の扉から電車に乗りこみました。・・・車内にはもう一人、車椅子に乗ったご年配の男性がいて、その奥さまと思しき女性が角の席に座りながら、今、車椅子のお客様を降ろした駅員さんと話をしておりました。

 聞くともなくその会話を聞いていると、どうやら次の駅の新大久保で降りたい。その時、この橋渡しをしてくれませんか?と頼んでいたんです。もちろんその駅員さんは高田馬場の駅員さんですから「いや、それは出来ません」と断っております。「どちらからご乗車になりましたか?」「秋葉原です」「その時、駅員に一声かけましたか?」「いいえ、何も言わず自力で乗ってきました」「そうですか、少しお待ち下さい」

 つまり、高田馬場の駅員さんはこれから新大久保の駅員さんに連絡をして、OKを取ってから電車が発車することになったのです。「連絡しておきますから~!」というわけにはいきません。隣の駅ですから、発車したら直ぐ着いちゃいます。・・・

 なかなか連絡が付かないのか発車しません。場内アナウンスが流れます。「ただいま、車内点検を行っております。お急ぎのところご迷惑をおかけいたします」という適切ではないけど、理由あって、今、停まっているのさ!というアナウンスです。

 そしてここが、リアクションの分かれ目です。昔の私なら「運が悪いなあ」と思いながら舌打ちをしていたかもしれません。

 ・・・でもこの時の私はイライラせずにおりました。しかも傍で見ていて事情が分かっていますから、電車が出るまでひたすら待っておりました。この山手線が結果4分ほど停まったんです。

 その間にも人が乗ってきますから、ラッシュでもないのに車内はどんどん無駄に混んできます。昔の私ならかなりイライラしたことでしょう。その時も周りの人達のイライラの空気が広がっていくのを感じました。

 私はジタバタせずに流れに身を任せようと思って車内にいたら、思わぬ面白いことに遭遇しました。

 〝とってもラッキーな人!〟を見たんです。

 電車が4分間停まっていたんですが、その停まっていた3分くらいの時に「あっ、降りなきゃ!」って突然降りたおじさんがいたんです。

 えー!今ー!って思いました。おっそー!・・・

 その人はふつうに発車していたら完全に乗り過ごしていたんですね⁉

 あの人ラッキーだなぁ~って心の底から思って見ていましたが、車内でそう感心している人もおりませんでした。

 ですから昔の私ならこの面白い出来事を見過ごしていたと思うんです。イライラしていれば目の前の出来事を面白くはとらえられない。人生はすべての場面で「自分がどう思うのか」の連続なんですよね。「面白い」という視点を持つことを今は大事にしています。・・・