生前と同じ意識を持つ霊

眠れる予言者エドガー・ケイシー―あなたの魂をみがくスピリチュアル・メッセージ

 こちらも興味深いエピソードでした。

 

P105

 ・・・ケイシーが生涯に一度だけ人前で行ったといわれるコックリさん(より正確にはウィジャーボードと呼ばれる西洋版コックリさん)のエピソードがあります・・・。

 ・・・

 ・・・彼の友人や知人の中にも、ケイシーの霊能力を見込んで彼にコックリさんをやってほしいという人たちが何人もいました。しかし、もともと自分の能力を面白半分に人に見せることを嫌っていたケイシーですから、なかなか引き受けようとはしませんでした。

 そんな中で1人だけ、ケイシーにコックリさんをさせることに成功した人がいました。彼は、ケイシーの長男ヒュー・リンの友人で、前々からケイシーの家に遊びに来ては熱心にコックリさんをお願いしていたのです。ある時、ケイシーもついに根負けして、「一度だけ」と念を押してコックリさんを行うことを同意しました。

 さっそくテーブルの上に文字盤とコインが用意され、人々がテーブルを囲みました。

 ケイシーが文字盤の上のコインに指を置いて目を閉じると、ほとんど即座にまぶたが小刻みに震え出し、霊が降りてきた合図としての霊動が始まりました。そしてすぐに、ものすごいスピードでケイシーの指がメッセージを綴り始めたのです。

 ケイシーに降りてきた霊は次のようなメッセージを綴りました。

「私は〇〇という名前の男で、数年前、近くの湖でボート遊びをしている時に誤って転落し、溺れ死んでしまいました。私の両親は自分が行方不明になって悲しんでいます。まだ湖で死んだことを知りません。どうか次の住所に住む私の両親に手紙を書いて、私の死体が湖に沈んでいることを連絡してください」

 そう告げるとその霊は、彼の両親の名前と住所を文字盤の上に綴りました。

 テーブルの周りにいたヒュー・リンの友人たちも、このメッセージにはびっくりしました。まさか、これほど具体的なメッセージが出て来るとは思ってもみなかったのです。メッセージを受けた人たちは半信半疑でしたが、とりあえず指示された住所の人物に手紙を書き、霊からの通信を取り次ぐことにしました。

 それから数週間後、ケイシーの自宅に数人のダイバーを連れた初老の夫婦が訪ねて来ました。

 なんと、コックリさんを通じて送られた霊のメッセージは、まぎれもない事実だったのです。その夫婦には息子があり、数年前から行方不明になっていたのです。彼らはダイバーを雇い、急いでケイシーの家を訪れたというわけです。

 驚くべきことに、霊の告げた場所に、彼らの息子の死体が発見されました。

 湖で溺れ死んだというその男性の霊は、・・・自分が霊的に救われる機会を待っていたのでしょう。ケイシーがコックリさんを始めるや、その霊力に感応してケイシーの元に引き寄せられ、こちらの世界に生きている人々にメッセージを送ってきたのです。

 この例で、私が面白いなあと思うのは、死んだ霊が生前と同じ意識を持ち、なおかつ両親の悲しみや心配をはっきりと理解し、両親の悲しみを軽減しようと働きかけていたという点です。ひょっとすると私たちの周りにも、私たちのことを見守り、あるいは心配している霊たちがいるのかもしれません。