「おない」文化

アフリカ出身 サコ学長、日本を語る

 こういう風に見えるんだ~と面白かったところです。

 

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「おない」という文化があるらしい。

 そのことを知ったのは、京都大学で研究を始めて間もないころだった。

「おない」とは、同い歳、タメという意味である。日本ではどうやら、社会人でも会社の中でも、同じ年齢であることや同期、先輩・後輩という関係が重視される傾向があるようだ。年齢で人との関係を決めるような習慣はマリにはないため、日本の「おない」文化には、今も違和感しかない。

 私が出会った日本人には、会ったらまず、その人と自分がどういう立ち位置かを確認した上で関わるような人も多く、不思議だった。しかも、はっきり「何歳ですか」と聞かず、探り探り。「小さいころにどんな番組を見ていたか」などということを話題にしつつ、盛り上がる。

 それまでかしこまった丁寧な敬語で話していたのに、「おない」だとわかった瞬間の距離の縮め方ときたら、普通じゃない。

「なんや、おないやんか!」って、なんやねん。急に変わるからビックリするやんか。

 その次に来るのは血液型。「A型っぽい」とあまりに何度も言われるので、病院で血液型を調べてカードを作る羽目になった。

 どうやら干支も気になる要素らしい。周辺の情報で人物を判断されることが多く、よくわからない。

 もう一つ、関係づくりにおいて「違う」と感じることがある。日本人は、友達同士をまぜるのがあまり好きではないように思えるのだ。所属するいくつかのコミュニティを器用に使い分け、それぞれの人間関係を築いている。

 私はというと、まぜるのが大好き。あっちの友達とこっちの友達を気にせずまぜこぜにし、みんなまとめて仲よくする。

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 研究室の仲間やサッカーチームの仲間にNOVAの先生や生徒、中国留学時代の友人、アメリカ人や中国人、パナマ人……。いろいろな属性の人たちが、私を通じてつながっていた。