選ばない、解決しない

自分の薬をつくる

 問題を解決しようとせず、研究する。とってもいい方法だと思いました。

 

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 ・・・抵抗もせず、受け入れもせずってことなんですが、つまり、それは研究するってことです。どっちにも行けないジレンマを感じている人は、どちらかの道を選んでもいいのですが、それで苦しくなっている場合は、選ぶという方法じゃないということを、体が教えてくれているのではないかと私はいつも考えます。研究開始のタイミングってことです。

 利点は選ばなくていいってことです。そして、研究すれば、自ずと第三の道が発生します。研究することは選択することから遠く離れていくんです。なぜならジレンマを感じているとき、それは矛盾とぶつかっているわけですが、矛盾を解決することばかり人は求めているようですが、そっちの方がおかしいんです。

 私は今医者ではありませんが、医者です。私は死にたくなりますが、死にたくなる人を死なせないようにいのっちの電話をしてます。私は人と会うのが好きではありませんが、人のことが好きです。私は毎日、矛盾の中にいます。そして、矛盾というものに対して考え方が変わってきました。それは自分を困らせる問題ではなくて、自分という体が持っている神秘を感じる瞬間だからです。矛盾の種類は人それぞれによって違いますが、みなさん等しく矛盾を抱えています。だから、研究すれば、人が喜びます。矛盾を解決すべき問題と捉えないことが重要です。哲学者キルケゴールの言葉に、

 人生は解決すべき問題ではなく、味わうべき神秘なのだ

 というものがあります。いや、たまたまネットで見つけただけです。どの本からの引用なのかすら知りません。もしかしたらキルケゴールの言葉じゃないかもしれません。

 でも、私はそんなこと御構い無しです。自分の栄養になるんだったら、どんどん取り入れるわけです。こんなこと考えたことなかったからです。人生とは問題を解決するものだと思っていたからです。そして、私は人生とは問題を解決するもの以外だと思っていませんでした。もっと違うだろ、もっと何かあるだろうと思っていました。声にはなっていなかった、言葉にはしたことがなかったけど、それを言葉にしてもらったのです。

 彼も矛盾を抱えていたんだと思います。問題を抱えていたんだと。でも、それがその人の特徴となりうるのです。研究をすれば、すぐにその問題だと思っていたものが、抱えていた矛盾がそのまま素直に、あなたの特徴になるんです。・・・