自分に嘘をつかない

宇野昌磨の軌跡 泣き虫だった小学生が世界屈指の表現者になるまで

 宇野昌磨さんのYouTubeを見ていたら、お友だちのフィギュアスケーター友野一希さんと本田真凛さんが「うまい選手ってみんな素直、自分に正直」ってしゃべってる所があって、「素直に、自分に正直に」ってほんとに大事だなと改めて思いました。

 

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 史上初の4回転フリップジャンパー―そんな称号とともにシニア2年目を迎えるこの年、・・・

 注目度もうなぎのぼりで、シーズンオフもテレビ、雑誌などの取材が目白押しだ。・・・聞いてみた。取材が嫌になったり、面倒になったりはしない?

「うーん、取材は好きではないです。雑誌や新聞、ふつうの取材はいいんですが、テレビの生放送とか、・・・僕、絶対緊張するんですよ!でも僕たちが取材されることで、フィギュアスケートが成り立っているところはありますからね。

 それに試合が終わった直後の取材は、自分のためにもなるんです。特に悔しい演技のあと、もし取材がなければ、僕は自分の気持ちに気づかないふりをして、自分に嘘をついてしまいがちだから。自分は何が間違っていたのか、どこが悪かったのか。本当は気づいていても、悔しいから認めたくない。意地を張って、『ここは悪くなかった』『僕は悪くなかった!』って、思っちゃう……。

 でも取材で人に聞かれれば、答えることになります。『今日は直前の6分の練習が間違っていました』『振り付けに身が入ってなかった』『ジャンプがちょっと、焦ってました』『緊張していないと言いながらも、緊張してました』って。聞かれて答えれば、認めざるをえない。素直になって、自分で自分の気持ちにも気づいて、ちゃんと振り返りができるんです。『ああ、練習が足りなかったってこと、自分で認めたくなかったんだな』なんて、わかる。それがすごく大事だってことに、ジュニアの最後のころに気づきました。大きな試合に出場するようになって、僕もいろいろな経験をするようになった。今までとは勝手が違うことも、多くなった。これまでみたいに、わがままに自分のやりたいことはやる、やりたくないことはやらないではダメかなって、思うから。

 僕、嘘をついたり隠したりするのが、すごく下手なんです。だから取材の時は、その時思っている本当のことを話してしまう。その時の正直な気持ちそのままなので、毎回話すことが違うかもしれません。悲しい気持ちの時はすごくネガティブな取材になりますし、うれしい時にはうれしさもそのまま、隠せないんです」