精神面のトレーニング

チーム・ブライアン 300点伝説

 引き続き、フィギュア・スケート関係の本・・・一度ハマるとそればかり(笑)

 羽生結弦さんの練習拠点、クリケット・クラブを率いる、ブライアン・オーサーさんのお話、興味深かったです。

 

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 ・・・2014年3月の世界選手権が終わるやいなや、私はユヅルとハビエルに言いました。

「さあ、次のオリンピックに向かって準備するぞ、あと4年だぞ」

 2人はまだシーズンを終えたばかりですから、「あと4年もある」「まだまだ先だ」といった表情を浮かべました。・・・

「ぼんやりしていたら、気づいたら今日はオリンピックだ!みたいになるぞ」と。

 私は選手として、1984年のサラエボオリンピックで銀メダルを獲った後、すぐに1988年のカルガリーオリンピックを目指しました。ライバルのブライアン・ボイタノと切磋琢磨しながら世界選手権の1位と2位を奪い合った4年間でした。この経験がありますから、オリンピックがどれだけあっという間に来るかを知っています。コーチとしても、バンクーバーとソチの2大会を目指した8年の経験がありますから、何をどの段階でやっておけば大丈夫かも、つねに計画しています。私は2人に警告する一方で、こんなふうに付け加えました。

「時間が経つのは早いけれど、進化する時間はたっぷりあるぞ」と。

 ・・・

 私がこの2人に対して次に打つ手は、すでに考えてありました。・・・それは、

「自分自身でオリンピックへの準備をする責任を持てる選手に育てる」ことです。その多くはメンタルトレーニングや精神的成長に関するものです。オリンピックは世界選手権とはまったく性質の異なる戦いだからです。

 ・・・

 オリンピックシーズンの準備は、トロントの日々の生活から始まるのです。平昌オリンピックの開催地に行ってからの精神コントロールだけでは不十分です。オリンピックシーズンになると、来る日も来る日もオリンピックのことしか考えられなくなります。ニュースもテレビコマーシャルも街の看板も、何もかもがオリンピックに絡むものになり、何気なく目にして急に不安になったりします。だからこそ、コーチがメンタルケアするのではなく、2人が自分で精神面のコントロールをしなければなりません。

 ・・・

 ・・・周囲からの期待も重圧も4年間、ずっとかかり続けます。ですからオリンピックを意識しながらも、平常心を保つためのツールが必要です。

 そうしたツールには、瞑想のような自己対話をするものや、ヨガなどのように呼吸を整えるものなど、いくつかあります。何であれ2人自身にとってベストの方法を確立させ、それぞれが思い通りに4年間の練習生活を送れるよう、サポートすることが必要でした。