おべんとうの時間

おべんとうの時間 4 (翼の王国books)

 このシリーズ大好きです♪

 4巻が出たことを知っていたのに、うっかりまだ読んでなかったことを思い出して手に取りました。いろんな人生が本から溢れてきて、しみじみ「みんな生きてるなぁ」と思いつつ読みました。

 この小笠原環くんという小学2年生の子のインタビュー、なんていったらいいのかわかりませんが、ただ「いいなぁ」って思いました。健やかってこういうことでしょうか。

 

P48

 お弁当作るの、楽しいよ。普段は給食だけど、月に2回校外学習の日がお弁当です。クラスのみんなは親に作ってもらうけど、僕は自分でやるのが好きだから。「弁当男子」って、ちゃーちゃん(母の愛称)が言う。

 今日はね、卵焼きとソーセージ、ミニトマト、ホウレン草の胡麻和え、それとおにぎり。ホントは、三角のもやりたくて、むぎゅう、むぎゅうって握ったこともあるんだけど、上手くいかないから、僕のはいつもまるいの。

 お弁当の日の前には、設計図を描いてる。卵焼きはここで、トマトはここってふうに。中身は自分で考える。ちゃーちゃんがそれを見て、必要な材料を用意してくれるか、一緒に買い物に行くの。・・・

 ・・・

 朝は僕、ラジオ体操もするし、お弁当を作る時間がないから、いつも前の晩に作るの。まずは、冷蔵庫にペタッと設計図を貼って。それ見ながら「よし、次はソーセージだ」とか言って。ちゃーちゃんはそばにいて、先生みたいな感じだね。僕、卵焼きはいつも作るから一人でできるけど、今日はホウレン草の茹で方とか教えてもらった。すり鉢で、ゴリゴリッてゴマもすったよ。

 たまーに失敗もするかな。最悪だったのは、ご飯の上に砂糖をザーッとかけて、塩もザーッとかけて、ハサミで丸く切った海苔をペタッてのせた時。すごい、まずかった。汗じゃないけど、ご飯が濡れて砂糖がとけて変な味になってた。あれって、上の海苔が一番悪かったのかな。卵焼きは砂糖入れると美味しくなるから、ご飯も砂糖をかけたら美味しくなると思ったんだけど。塩はだいたいの料理に入れるから、かけてみた。甘じょっぱくなるかなと思ったんだ。うわー、最悪だあって思いながら全部食べた。運動会の日の弁当も、僕、作ったよ。当然、当然。ちゃーちゃんの分だって作ったもん。

 ・・・

 僕が自分でお弁当作るようになってから、クラスの中でも、料理に興味を持つ子が出てきたみたい。だって、図書館で料理の本を借りてるんだって。僕は料理の本は借りない。借りるのは、飛行機とか『スター・ウォーズ』の本。

「将来の夢は何ですか」って聞かれて、絶対に答えなくちゃダメっていう時は、「パイロット」って言ってる。なりたいけど、まだわからない。だって、未来にもっといろんな仕事が見つかるかもしれない。前は宇宙飛行士って思ってたし。旅人っていうのも、いいかなと思って。いろんな世界に行ってみたいって思っちゃう。あと、たこ焼き屋かな。