言われてみればその通りですけど、モノの売り買いに限らず例えば普通に会話をするにしても、どれだけの人が実践できてるかな?と思いました。
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モノを売ったり相手の関心を得るときに大切なのは、「セグメンテーションされた情報を与える」ということです。「相手のニーズに応じたもの」と言い換えてもいいでしょう。
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たとえば、・・・某大手教育関連会社はですね、生徒を集めるためのDMを打つタイミングを、非常に精緻に決めています。ちょうどテストの1週間前と、テストの結果がわかった頃にDMが来るんですね。
それは、相手のニーズから逆算して考えているからです。
テスト1週間前に送られてくるDMはどんなものかというと、中に漫画が入っていてですね、サッカー部の男の子とかが主人公で、「大変だ、もうすぐ試験なのにぜんぜん勉強できてない!今度の中間テストの成績が悪かったら部活をやめろと親に言われてしまった!!」みたいな内容なんです。
ところが彼の先輩は、サッカーを一生懸命やっているのにテストも余裕綽々なんですね。だから「先輩はどうしていつも余裕なんですか⁉」って聞くと「じつは……」となって、「それは〇〇ゼミをやっているからなんだ!」って展開になるわけです。
みなさん、見覚えありますよね?
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ところが、テストが終わったあとになるとどうなるかっていうと、違うマンガが送られてきてですね、主人公は頭を抱えて「ヤバい、また成績が悪い!どうしよう~⁉」みたいな(笑)。
お母さんに大目玉くらって、このままだと部活をやめさせられてしまうっていうときに「○○ゼミなら苦手分野もすぐカバー!いまは成績悪くても、次の学期に逆転できるセットがあります!」みたいなものが、オファーされてくるわけです。
要するに、相手がどういう状況にあるかで、じつは欲しいものはぜんぜん変わってくるし、提案の言葉というのは、同じ商品でも相手のそのときのニーズに応じて適宜変えていかないといけないんです。
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なので交渉においても、こちら側の主張をたくさんするよりは、相手側にたくさん聞いて、相手が何を重視しているかを分析したうえで、最終的に「だったら、これはどうですか?」と提案するほうが、交渉がまとまる可能性が高まるんです。
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交渉の本質というのは、どっちかというと「情報戦」に近くて、いかに相手側から情報を集めるかで決まるんです。
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つまり交渉とは、
「自分の都合」ではなく、「相手の利害」を分析する、
そのためには、「話す」のではなく「聞く」、
そして、非合理な相手は「猿」だと思って、研究する(笑)。
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そういえば先日も、僕のところに、英語の論文コンテストを新規に始めるので瀧本さんの学生に勧めてくださいよーみたいな謎の売り込みが大学の職員から来たんですが、チラシとかの提案がヘタクソなんですよね。
そんなんじゃ誰も参加しないから、僕がその場で新しいのをつくってあげたんですけど、・・・
まず「良いネタになって就職活動に役立ちます」「内定が近づきます!」みたいな、一番のニーズに対することを言ってですね、1年目だからまだ競争は少ないけど、来年度からは激戦になりそうだから今年やったほうが断然お得で、参加できる学年に制限もあるから、やっぱり今やらないとヤバいよね、みたいな感じに展開するんですよ。
・・・コストをかけずに英語の勉強ができて、やったー、ラッキー!超お得!!みたいな(会場笑)。
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交渉を学ぶと、プレゼンとかも断然うまくなるんですよね。