神さまのストップ

力をぬいて

 銀色夏生さんの本、久しぶりに読みました。 

 そのとおりだな、と思ったところです。

 

P176

 友だちと話をしていたら、

「1回しか言わないけど実は昔、こういうことがあったの」と、

過去の大失敗を話してくれた。

 それを聞いて私も話した。

「実は私も2回ほど過去に大失敗があったの。

 たくさんの人が絡む仕事で。でも、

 もしあの時に中途半端にうまくいってたら、

 そこで人々とのつながりができて、

 その後辞めたくても辞めることもできずに

 人間関係が複雑になって、

 今みたいに自由に気ままに生きていられないと思う。

 だから失敗して、きっぱりやめて、その時はつらかったけど

 結局はよかったと思ってる。

 そういう失敗を私は『神さまのストップ』って呼んでるの」

「ああ!神さまのストップ!そうだね」

 友だちは、安心したように空を仰ぎ、

 深々とため息をついた。

 神さまは、私たちが道を誤らないように、

 ときどき間違った方向に行くと

 ストップさせてくれる。

 だから安心して好きなことをしたらいい。

 安心して失敗したらいい。