小さな歩幅で

食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単

 ひとっ飛びでなく、小さな歩幅で、・・・そしてこうと決めつけず、気が向いたら変えていくというのも大事なポイントだなと思いました。

 

P183

 新しい人生モデルにうまく転換した人のほとんどが、まずは小さな歩幅で歩き出している、ということに私は気がついた。これはきっと重要なことなのだろう。どれほど多くの人が、道幅が広すぎ、歩幅が大きすぎるがために、途中で挫折し、理想のヴィジョンへ進むことを諦めていることだろう。

 私の知り合いに、もう何十年も人形芝居家になりたがっている女性がいる。残念ながら、彼女は一歩一歩小さな歩幅で歩むことが億劫で、ひとっ飛びで目的に達したいものだから、自分で未来を閉ざしている。・・・彼女は夢見ていることをすぐに手に入れたいか、それとも全然手をつけないかのどちらかなのだ。

 何かを変えるには長い息が必要だ。新しい可能性を展開させるためには、まずは今までたどってきた道を認め、何が間違っているのかを見極めなくてはならない。しかし、何も古い構造の全てを捨て去らなければいけないというわけではない。古いことの一部を新しく刷新すればいいのだ。・・・

 私の父は、娘である私が職を変え勉強をし直すたびに、いまだに自分でお金を稼げない、と嘆いたことがあった。彼の言ったことは正しくない。皆がその職業を、好き嫌いにかかわらず、定年になるまで続けるという時代は、ゆっくりではあるが確実に終わりに近づいている。

 ・・・

 4年の間、私は全てお返しの行為をすることによって生活してきた。そして今、私はまた財布を持つようになった。そろそろまた少しばかりのお金を自分の日常生活に取り入れてみようか、と思っていたところ、ちょうどいいタイミングに私に財布をプレゼントしてくれた人があったのだ。それ以来、私はたまに〝ちゃんとした〟買い物に出かけるようになった。自分にちょっとした「ごほうび」をあげることもある。好物のビスケットを永遠に待ちわびるよりも、お店にサッと飛び込んで買ってしまう。ちょうど今、我慢できないくらい食べたいチーズも同じように。このようなささやかな、しかしもう長く馴染みのなかった〝贅沢〟は、私に幸せな気持ちを運んでくれる。さらに、この〝風穴〟は心地よい自由な風をもたらしてくれるのだ。店に入ったり何かを買ったりすることは、今も基本的にはあまりしないが、それが絶対に禁止か、いつでもできるが実行する気がない、というのでは随分違うものである。以前私は例外を一切認めず、徹底的に自分の規則を守った。それはそれで、私の大切な経験となった。そして今、時折の〝脱線〟は私の心の健康に役立っている。