注文通りじゃなくても

放っておいても明日は来る― 就職しないで生きる9つの方法

 ダイエット目的でキックボクシングを始めたら、タイでプロのムエタイ選手になってしまったという下関崇子さんのお話。こちらも面白かったです。

 

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高野 ・・・本にも書いてありますけど、注文とは違うものが出てくる人生って話がありますよね。

下関 そうです。タイに来てすぐの頃、友達と島へ遊びに行ったんです。そこで知り合った人たちと、ご飯を食べに行ったんですね。外国のメニューって英語の訳し方が日本の感覚とは違うし、日本も和製英語だから間違っているところもあって、そのときは友人がフライドチキンを頼んだんですね。フライドチキンっていったらケンタッキーみたいなのと思うじゃないですか。

高野 油で香ばしく揚げたチキンを想像しますね。

下関 それがね、炒めた鶏肉のコマ切れが出てきたんですよ。フライドって炒めるって意味だから本当は正しいんですけど、日本人の私たちは頼んだものと違うってがっかりしちゃった。そしたら同席していたスペイン人の男性が、それはおいしいのか、おいしくないのかって訊くんです。おいしいって答えたら、じゃあいいじゃないかって。

高野 結果がOKなら良いだろうってことですか。

下関 その瞬間に目から鱗が落ちたというか、私は今まで注文どおり私の中でこう生きるべきだ、こう生きたいっていうのがずっとあったんですけど、それとは違う人生になっちゃっている。そういうので葛藤があったんですけど、楽しければそれでいいじゃないかって、そのときに思えたんですよ。身が軽くなったというか、気づかされたんですね。