今を生きるってそういうことかなと思ったところです。
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僕は、一回目の千日回峯行が終わって、「もう卒業かな?」と自分に問いかけたときに、「まだやることが残っている気がするな」と思った。
「じゃあ、なにをやればいいんだろう?」と考えても、なにも思いつかなかったから、「とりあえず、もう一回同じように歩いてみよう」という気持ちになったんだ。
まわりの人からは、「一回やって、飽きずに二回もやったんだから、大変なものを得たんでしょう?」と聞かれるけど、「なんにもなかった」と答えるしかないんだ。
毎日同じことをしているだけだから、最終的に千日できたって、なにも得るものなんてありゃしない。あるわけないんだ(笑)。ただ、自分が生きていられて、千日を終えたというだけだよね。それ以外にはなにもない。
だけど、そのほうがすごく気がラクだよ。「すごいものを求めて行をしよう」なんて思ってしまったら、千日終わって、なにも得られなかったときに苦しくなるからね。
最初からなんにも求めていないんだから、失敗しようがどうしようが、気がラクなんだ。「絶対に成功させなければいけない」なんて思っていないんだから。千日の行が終わっても、「なにも得られないのが当たり前」と思っていると、ラクになるんだ。
人生も同じじゃないのかな?一生懸命に一日、一日を生きていこうとする。「最終的になにも得られなくていい」と考えると、すごく気がラクになると思うよ。