読み心地のやさしい本でした。
P131
開き直りと言ったらいいのかわからないけど、人間は、そのままでいいんだよ。そのままの自分を出せばいいんだ。
まわりの人からは、「あなたは阿闍梨さんなんだから、そんな格好しないで、ちゃんとした服装をしていなきゃダメですよ」なんてよく言われたけど、「阿闍梨だろうがなんだろうが、本人がこれでいいと思うんだから、これでいいんだよ」と言ったら、それからはなにも言われなくなった。僕からすれば、ちゃんとした衣を着て、阿闍梨らしい格好をしているほうが、メッキをまとっているようなもんだからね。
のちに首相になった政治家たちが、何人もうちの寺にきたけど、そのときも僕はいつも通りの普段着で座ってた。政治家がくるからといって、部屋をいつもより念入りに掃除するなんてことはしなかったしね。今考えてみれば、ちらかっているところに、みんなよく座ってくれたと思うけどね(笑)。
そうやって、いつも自然体でいれば、「この人は、そういうもんなんだ」と、みんなが思ってくれる。だから、誰がきても同じように、自然体に徹するのが一番なんだ。・・・