断食の魅力

女心と秋の空 (幻冬舎文庫)

中谷美紀さんのエッセイを読みました。
おもしろかったです。
ここは、断食に行きたくなっちゃう内容でした。

P170
 いつの頃からか多忙により少々疲れたときは、タイへ出かけるようになった。
 寒さで拘縮した筋肉を温暖な場所でゆるめるためなのか、陰鬱な曇り空から逃れて燦燦たる太陽の光を浴びるのが目的なのか、冬期にはロシアやヨーロッパからも多くの人々が訪れる。そして私も、温暖な気候の中でファスティングをしたり、身体を動かしたり、理学療法士によるトリートメントを受けたりして、疲れた身体と心をリセットするために再び旅に出た。
 撮影中は、5分、10分で食事を済ませなくてはならないため、日頃から負担をかけている消化器官を休ませるには、フレッシュな野菜ジュースと大麦若葉の青汁で過ごすファスティングが最も適している。さらには、飢餓の危機に陥った身体が老廃物の排泄に向けて働いている間に、チネイザンという腹部の丁寧なマッサージを受けると、腸内環境が整うことはもとより、知らず知らずのうちにため込んでいた怒りや悲しみといった感情が解放されて、涙が出たり雄弁になったりする。とりわけアジアの女性たちは、自分の本当の感情をグッと堪えて生きる傾向にあり、怒りや不安は肝臓などの臓器や筋肉に記憶されるので、それをほぐしてあげることが大切なのだそう。
 ・・・
 余計なことは何も考えず、身体と心の発するメッセージに耳を澄ませ、本当に心地よいことだけを選択する時間は誰しもが必要としているはずだけれど、忙しいさなかにそんなことなど言っていられないのも悲しい事実である。
 ところで、今回のファスティングが数年前に日本で行ったときと比べてずいぶんと楽に感じたのは何故だろう。日本では1日2回のにんじんジュース、そして黒糖入りの生姜湯とハーブティーを好きなだけだったけれど、空腹にあえぎ、毎晩のように食事の夢を見たし3日目には寝床から立ち上がれなくなった。しかし、今回は1日5回のフレッシュ野菜ジュースと2回の青汁、そして無糖のハーブティーを何度でもという日々で、摂取カロリーはほぼ同じはずなのだけれど、空腹はあまり感じることなく、朝からストレッチやヨガ、ジャイロトニックなど毎日2,3時間は身体を動かす余力もあった。・・・
 そして、ファスティング明けに少しずつ食事の量を増やし、ようやく口にすることを許された海老と春雨の蒸し物「クンオプウンセン」の何とおいしいこと!
 素朴な食事をゆっくり味わっていただく、ただそれだけのことが最高に贅沢な時間に思えた。

断食反応はそのときの体調によって様々なようですが、例えば何度も訪れた やすらぎの里 http://www.y-sato.com/ ではなるべく辛い症状が出ないように、断食中に飲む飲み物を工夫してくれているそうです。
そしてやっぱり断食明けの爽快感、あれはまた味わいたいなと思います(^^)