このお話も、いいな、と思いました。
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家から高校までは電車とバスを使って2時間もかかった。その間ずっとカセット・ウォークマンにイヤホンを繋ぎ耳に差し込んでいた。・・・
毎日聴いていたのは小堺一機さんと関根勤さん、通称「コサキン」のお二人による2時間の番組『コサキン DE ワァオ!』だ。
小堺さんによる見事な進行、フリとツッコミ。そして関根さんによる強烈なボケと時々発せられる真面目な言葉。しかしその言葉は社会的な一般常識からは少し外れていて、一聴すると奇をてらった発言に聞こえるが、その喋り方からはまっすぐ正直な本心であることが窺えた。
小堺さんはその言葉を否定せず、しかしリスナーに伝わりやすく突っ込むことによってギャグに変換した。するとリスナーの心には真面目な言葉と笑いの両方が届けられる。聴きながら「いつか、関根さんみたいに本当の言葉を喋れるようになりたい」と思った。
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・・・コサキンのお二人は人を馬鹿にするような笑いを生まなかった。必ず自分が馬鹿になる。人の揚げ足を取ることはせず、自分たちを思い切り下げて笑った。
有名人や大御所俳優をネタにする時も、あまりにバカバカしくて絶対に創作ネタとして感じるレベルまでくだらなく仕上げ、「こんなこと言ってる俺たちが馬鹿なんだ」と笑いにした。
そこがすごく好きだった。お二人の口からは勝ち負けや、競争、順位の話はほとんど出てこなかった。
現実の世界は競争ばかりだ。
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もちろん、世の中には勝ち負けが必要だ。正解が数字に反映されないテストなんて気持ち悪いし、徒競走で全員1位なんておかしい。ただ、そうじゃない場所があったっていい。
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お二人からはたくさんのことを教わった。
人を馬鹿にせず自分が馬鹿になること、競争をしたってつまらないということ、・・・関根さんの発言のように、カッコつけたりごまかしたりせず、自分に正直に、まっすぐ素直であれということ。
もちろんそんなことをお二人が言葉にしたわけではなく、ただ、その姿勢から勝手にそう受け取っただけだ。すぐには無理かもしれないけど、いつかそういう人間になりたいと思った。
星野源さんてなんか真っ当というか、読んでて気持ちがいいな、と思ったので、続いて「働く男」も文庫で読みました。
文庫版特別対談ということで、ピース又吉直樹さんとの対談が載っていて、それがとても良かったです。
お二人の考え方というか、生きる姿勢というか、いいなと思いました。