思考を育てる

「思考」を育てる100の講義 (だいわ文庫)

森博嗣さんの本、続けて読みました。
また印象に残ったところを書きとめておきます。

P18
 明日死ぬと思って行動し、永遠に生きられると思って考える。
 ・・・誰の言葉だったか、思い出せないが、有名な人が同じ内容のことを言っている。それを聞いたときは、そう、そのとおりだと思った。
 いつ死んでも良い覚悟と、いつまでも生きる希望を持とう、というのとは少し違う。そういう覚悟とか希望みたいな気持ちの問題ではなく、自分の行動として、どこで中途半端になっても良いようにしておくこと、また、自分の思考として、自分の人生を超えた時間を見通すこと、という意味だ。

P47
 どんな本を読んでも、僕はなにか得られる。本を読んで、なにも得られないということはありえない。得られないのは、自分で耳を塞ぎ、心を閉ざしているからだろう。ただ、本を読むと、時間は奪われる。したがって、本の値段と読む時間に見合うくらいのものが得られると、トータルとして得をしたと思う。そういう意味では、損をすることもないとはいえない。できるだけ得をしたいから、素直な気持ちで読むことにしている。

P51
 僕は、実は歴史の本が大好きで、西洋史東洋史、日本史の本をけっこうよく読んでいる。しかし、読むときに固有名詞に出会うと、文字を飛ばしてしまう。どうせ覚えられないから、頭に入れようともしなくなった。だから、人に知識として話すことができない。「どこで」「誰が」が言えない。ただ、「どうして」「何が起こったか」を知っているだけで、その事件が「何と」呼ばれているかも知らないのである。