価値観の違いを思いやる

信じて根を張れ! 楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる (単行本)

育った時代によって価値観や考え方が違う、それを思いやって接するのって大事だなと思います。

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 よくよく考えると、昭和30年代に生まれた私たちと、団塊の世代の方とがすでに違っています。生活環境とか、豊かさとか、育ち方が違います。団塊の世代より私たちのほうが、ゆったりしているところがあります。それでも、根性論とかそういう類は嫌いだけど、それも必要と思える。共有できる部分はあります。けれど、それが現在の20代や平成生まれの若者まで世代が飛んでしまうと、またさらに違う価値観を求めなくてはいけません。
 まず、個を大切にする価値観。いろいろなものが多様化しているうえ、体験してきたことが違うので、十羽ひとからげに見てしまうと対応の仕方を誤ります。それぞれの資質や、それぞれの感性の幅が非常に大きいと考えたほうがよさそうです。
 私がどんな選手に向けても心がけているのは、小さな成功をほめることと、選手の意見を聞くことです。
 完全な成功には及ばなくても、選択したプレーが間違いじゃないと感じたら「今のチョイスでいいよ。いい試みだよ」とほめます。「自分は、どう思うの?」と尋ねます。選手は自分なりに言葉を探して、意思を伝えてきます。うまくない分析論でも否定しません。そこに集中し、なんとか前進しようという向上心をつぶしたくないからです。
 就任したてのころ、私が全員に高い要求をし、指示命令を繰り返す指導になりがちだったことをお話ししました。指示命令を受けるだけの時間は、トレーニングではなく単なる苦行になります。その状態が続くと、ラグビーを好きになれません。
 学生が求めている。自分たちの可能性に挑戦している。そんな空気を大切にしなくては、モチベーションが上がりません。

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 ・・・平成生まれ。一見理解しづらい。宇宙人のように見える発想の子もいますが、彼らの経験してきたことから生まれる考え方の違いは、大人が理解してあげないといけません。大人の考え方に彼らをあてはめてしまうと失敗します。まず理解のスピードが違うので、待ってあげることが必要。じっくり構えていれば、相手も徐々にわかってくれます。・・・