記憶は私

過去の自分を振り返る人だけが成功する理由 できない脳ほど自信過剰

振り返る対象、記憶に関しても昨日挙げた本に書いてありました。
「私の記憶は私の人格そのもの」だとも…。
達蔵さんの本も「振り返ることで自由になる。そして自由とは、自分以外の何ものでもない自己になること」としめくくられていました。

P82
 ・・・忘れた記憶は完全に消え去ってしまったのではなく、脳のどこかに蓄えられているということがわかります。脳回路に痕跡(エングラム)が残っているのに、「心」がその情報にアクセスできないために、表面上、「忘れた」という症状に陥っているだけなのです。
「忘」という感じは「心を亡くす」と書きます。見事です。なくなっているのは「思い出す心」であって、脳情報そのものではありません。
 現在の脳研究では、脳内に保管された情報へのアクセスを遮断させる新たな「記憶」ができることで、「忘れる」という現象がおこると考えられています。つまり、忘却とは「思い出すな」という別の形の記憶が脳回路に保存されることで成立する前向きな現象だというわけです。こうしたタイプの記憶を「消去記憶」と呼びます。
 では脳には、どこまで古い情報が残っているのでしょうか。1年前でしょうか、10年前でしょうか。・・・
 ・・・
 ・・・ヘルシンキ大学のパータネン博士らは、なんと「生まれる前の記憶」さえ残っていることを証明しています。妊娠後期に母親の体外から「キラキラ星」のメロディを週5回聴かせ続けたところ、生後4ヵ月になっても、「キラキラ星」を聴いた時にだけ、脳波に反応が現れることがわかったのです。この実験データは、私たちが「記憶」と聞いて一般に想像するよりも、はるかに古くからの経験が脳回路に刻まれていることを示しています。・・・
 記憶は私たちの個性そのものです。私たちは自分の「記憶」に基づいて、感じたり、考えたり、判断したりしています。だから私の記憶は、私の人格そのものです。誕生前から少しずつ貯蓄してきた大切な宝物です。
 そして忘れてはなりません。今この瞬間もまた、新たな記憶を脳回路に添えて、未来の自分に送っています。「生きる」とは、言い換えれば、過去の自分を現在の自分で味付けして未来の自分に託すことなのです。