自己肯定感

ジプシーにようこそ! 旅バカOL、会社卒業を決めた旅 (幻冬舎文庫)

 この自己肯定感の話も、あとがきに書いてありました。

P376
 ジプシーには、「自分を丸ごと受け入れること」の大切さも教わりました。自分をある程度受け入れるようになるにも、私なんかどれだけ時間がかかったか分からないのに、彼らの"自己肯定感"の強さには驚かされっぱなしでした。
 もし私がジプシーに、「ねぇ、自分にめっちゃ自信あるよね?」と聞いたとしても、彼らにとってそれは当たり前なことなので、「は?」という顔をされるかもしれません。それは、日本人に「自分が真面目だっていう自覚ある?」と聞くようなもので、その民族にとって当たり前のことは、なかなかピンとこないものです。
 なので、私が勝手に代弁しますが、基本的に、ジプシーは自分に「確固たる自信」を持っています。お金なんてなくても、成功してなくても、人々から尊敬されなくても、ジプシーは「自分は素晴らしい存在だ」と信じて疑わず、あの、自分を誇らしく思う性分が羨ましいほどです。
 ・・・
 あの、揺るぎない自信は、いったいどこからくるのか。
 ジプシーは大家族の中でメチャメチャ愛されて育つことが多いので、まわりのしつけというか、溺愛流・子育ての結果ではないかと私は思っています。たいていのジプシーは子どもの頃、親や兄弟や親戚にいつもギュッと抱かれていて、ほっておかれるということがないので、濃厚なスキンシップも大きな要因かもしれません。
 リンコの家の"貧乏ユートピア"がいい例ですが、「自己肯定感」と「幸せ」は密接に繋がっているのだと、最近つくづく思います。今私は、毎日行く会社のような場所もなく、傍目から見れば不安定そのものですが、皮肉なことに、幸せの条件だと思っていたステータスや安定を手放したことで、会社員時代よりもずっとずっと幸せを感じられるようになり、自分のことも好きになることができました。・・・
 ・・・
 私たちはみな、地球に生まれ、この星に100年も滞在しない、旅人のような存在です。どうせなら好きに生きた方がいいし、体や心を壊すくらいなら、そんな会社や学校には行かず、全力で逃げてください。生きる方がよっぽど大事ですから!
 そんなこんなで、幸せになる秘訣は、お金でも安定でもなく、「自分を丸ごと受け入れること」、そして、「自分を好きになること」なのだと、私はつくづく思い知りました。
 ・・・
 この旅の道中、ジプシーは言うこともテンションもクルクル変わるなぁと何度も思いましたが、生物学者福岡伸一さん曰く、生物学的には「今日の私は、明日の私とは違うし、昨日の私とも違う」んだそうで、ジプシーは変わっていく自分に正直なだけなんだなと思いました。・・・
 私がジプシーと出会ったことで人生がガラッと変わったように、人と人は互いに影響を与え合う中でみんな生きていて、人同士も国同士も常に影響を与え合い、日々刻々と地球レベルで変化し続けていて、地球はひとりの人間、ひとつのデッカい魂みたいな存在なのかもしれないなぁと思う今日この頃です。