当たり前

自閉症のうた

僕が生きていることは、当たり前のこと・・・当たり前という言葉がこんなにあたたかいことがショックでした。

P51
 僕が尊敬しているのは生きていく上で、いろいろなことを教えてくれる人です。学校で勉強を教えるような指導ではなく、相手の生き方そのものに僕は影響を受けます。
 どのような人も、尊敬されるべき人間なのでしょう。だから、尊敬する人を一人にしぼれないというわけではありません。自分にとっては、僕を愛し認めてくれる家族こそ、敬うべき存在だと考えています。自閉症という障害を抱えた僕と人生を共に過ごすことがどれだけ大変か、僕自身が一番よくわかっています。
 僕のせいで他の人から冷たい視線を向けられても、こだわりやパニックに振り回されても、僕が家族から、のけ者にされることはありませんでした。我が家はこれが普通だという家族の態度は、必ずいつか訪れるであろう希望を予感させてくれました。
 ありのままでいいという気持ちになったというより、僕が生きていることは特別なことではなく、当たり前のことだと思えたからです。