命名

ど・スピリチュアル日本旅

命名っていうのは命に名を与えること」、改めてなるほどと思いました。

P272
「島仲由美子さんを連れてきたわよ〜。島仲由美子さんは、竹富島の司のひとりで、『神に仕える女性』なの。竹富では、神事はすべて女の司が取り仕切るんだけど、神事が山のようにあるから、由美子さんは年中、大忙しよ〜」
「いやいや、同子さんもヒトミさんも、いつも忙しくしてるじゃな〜い」と由美子さん。
 さっきから、みんな名前をきっちり呼ぶなぁと思い、
「みなさん仲良しなのに、『ゆみちゃん』とか『ともさん』とは呼ばないんですね」
 と何の気なしに言うと、3人がブルンブルン首を振る。
「竹富では、あだ名を付けないのよ〜。例えば『ケンタロウ』を『ケンちゃん』なんて呼ばず、ちゃんと『ケンタロウ』『ケンタロウさん』って呼ぶの」
 ヒトミさんが言うと、同子さんが言う。
「『命名』っていうのは『命に名を与えること』だから、相手の命を尊重するためにも、名前を途中で切ってはダメ。竹富では名前だけでなく、名字と名前のフルネームで呼ぶことも多いよ」
「へぇ〜。名前ひとつとっても、いろんな伝統があるんですねぇ」
 私が言うと、同子さんが大真面目な顔で言う。
「名前は大事よ〜!たとえば、今までてるこちゃんは、凄〜くビックリしたり、心の張り合いがなくなったりして、魂が抜けたみたいな気分になったこと、ない?」
「ありますね〜。車に危うく、ぶつかりそうになったときとか」
「そういうときは、自分の魂が抜けた場所に戻って、やることがあるのよ〜。まず、麻糸で7つの輪っかを作って、自分の名前を3回呼ぶ。それから、両手で麻糸を引っ張って、7つの輪っかを7つの玉結びにするの。で、その麻糸をミサンガのように腕に巻けば、魂が戻ってくるからね。これは竹富の、魂を呼び戻す"魂込み(たましくみ)"のやり方よ」