たかのてるこさん

ど・スピリチュアル日本旅  ガンジス河でバタフライ (幻冬舎文庫)
たかのてるこさんと言えば「ガンジス河でバタフライ」ですが、最近は日本も旅してるんですね〜と思ったら、数年前まで会社員生活でたまにしか旅に出られなかったのだとか。
この本も面白かったです。

P13
 会社勤めの間、愛して止まない旅に、数年に一度しか出られない状況にイラ立ちながらも、独立する勇気がなかったのは、映画会社に勤めているというステータスや安定、給料、居場所を失いたくなかったからだ。そして、「旅人で生計が立つワケがない!」とも思い込んでいた。今思うと、会社員時代の私は、ガチガチの執着心に囚われ、「できないヤツ」と思われたくないという恐怖心から仕事していたように思う。
 でも、環境を変えれば、自分が変わる。
 私の中身が激変したのではなく、会社員の肩書きが外れ、"旅人・エッセイスト"になったことで、毎日勤めがある会社員には絶対来なかった「旅に出る仕事」がちらほら舞い込むようになったのだ。そして、人が私を見る目が変わったことで、自分自身のセルフイメージが変わったように感じている、と言えばいいだろうか。
 あぁ、ありのままの自分でいられる居心地の良さよ!
 社会的なステータスは失ったものの、いつでも旅に出られるステータスを得られた喜びといったらなかった。私は失うことを恐れるあまり、たくさんの木の実を掴んだまま壺から手が抜けなくなる猿状態になってしまっていたのかもしれない。まず何かをやめないことには、何も変わらないし、何も始まらないのだということを、私は身を以て痛感したのだ。