ぶれない価値観

スティーブ・ジョブズ名語録 (PHP文庫)

お金は大事じゃないと言ってるのではなく、それは問題ではないという価値観、ここまで徹底しているのがまた、ユニークだなと感じました。

P131
 ジョブズがアップルに復帰するに当たって提示された条件は、すばらしかった。現金で三億七千七百五十ドル、株式百五十万株。しかし、ジョブズはこれを断る。なぜなら金儲けのためにアップルに帰ってきたわけではなかったからだ。愛する会社を倒産の危機から救いたかっただけだ。だから無報酬でよかった。実際には、社会保障のために無報酬とはいかず、年俸は一ドルに設定された。
 もちろん、給料がなくてもやっていける資産があるからだが、ネクストでも給与ゼロ、ピクサーでは年間五十ドルだったし、ディズニーの取締役報酬の六万五千ドルも辞退しているから、やはりジョブズの目的は金ではないのだ。
「二十三歳で百万ドル以上を稼ぎ、二十四歳の時に一千万ドルを超えた。一億ドルを突破したのは二十五歳のときだった。だが、そんなことは大した問題ではない。金のためにやってきたわけではないからね」
 そういうジョブズは、わがままな金持ちではあったが、全体的には禁欲的生活を貫いている。マイク・マークラのように自家用ジェットを買うことも、スティーブ・ウォズニアックのように映画館を買うこともなく、こう言っている。
「お金で買いたいものなんて、すぐに尽きてしまう」