不思議な歌

バウルの歌を探しに バングラデシュの喧騒に紛れ込んだ彷徨の記録 (幻冬舎文庫)

バウルの歌は隠喩が多く、不思議な歌詞です。
オチンパキ(知らない鳥)という歌はとても有名だそうですが、こんな歌詞でした。

P109
 鳥籠の中、見知らぬ鳥は、
 どうやって往き来する?

 つかまえたら、「心の枷」を その足にはめたのに。
 八つの部屋は九つの扉で鎖され 
 中をときたま閃光がよぎる、
 その上には、母屋がある―
 そしてそこには、鏡の間。

 心よ、おまえは籠をあてにしているが
 おまえの籠はもろい青竹作り、
 いつパタリと崩おれるやもしれぬ、
 ラロンは言う、籠が開けば 
 その鳥は どこに一体逃げ去ることか。
(訳 大西正幸)