怖じ気ずに挑む

プロフェッショナル仕事の流儀 壁を打ち破る34の生き方 (NHK出版新書)

カツオ漁師の明神学武さん。
漁労長になってから3年間は、釣果が出せず、漁師たちが他の船に移ってしまうということもありましたが、研究を重ねて、最近10年では4回も水揚げ日本一を記録されたそうです。

P226
 一回の漁にかかる費用は、燃料代や餌のイワシ代や食料代など、およそ三〇〇万円。たとえ一回の失敗でも、年間の収支、つまり船員とその家族の生活をも揺るがすことにつながりかねない。他船と異なる漁場を狙うときに、一人負けの恐怖が明神さんの頭をよぎる。
 そんなプレッシャーで押しつぶされそうなとき、明神さんがいつも心で唱える言葉がある。
 怖がるな、ドキドキしていけ
「怖がっていると、ネガティブになって思考停止やろ。"きっと釣れる"ってドキドキしていった方が、いざというときに臨機応変に反応していける気がするよね。楽しんでるときの方が、柔軟でいられるって感覚。なんとなくわかるやろ?」
 重圧にひるむな、楽しんで挑め。
 ・・・
「ドキドキしていられることで、その仕事をずっと好きでいられる。好きでいればそれだけのめり込めるやろ」

全然違う分野、産科医の川鰭市郎さんのページにも、同じような内容の言葉がありました。
P236
 最先端の胎児診断の道を切り開いてきたパイオニア、イラン・ティモール医師が語った産科医があるべき姿に、川鰭さんはハッとなった。
“Who wonder what happen.”(何が起きても、ワクワクしながら進め)
 ティモール医師はこう言った後、「怖じ気づいて踏み出せない人ではなく、リスクを顧みず闇雲に動き回る人でもなく、勇気と冷静さをあわせ持つ探検者であれ」と語った。