ちょうど達蔵さんの本を読んだところでこの本を見かけたので、あ、これも決めることに関する本だ、と手に取りました。
まったく違う角度からの内容で、これもまた興味深かったです。
印象に残ったところのメモです。
P75
あなたは、赤ちゃんは軽いと思っていないだろうか。だが、熟睡した赤ちゃんはかなり重い。それは、赤ちゃんの体重がすべてこちらにかかってくるからである。
それと同じで、人間はすべてゆるんだ状態が一番強くなれるものなのだ。
これは、精神面でも同じことだ。どこか力が入ると、人間は正直でなくなる。たとえば、会議で無理に自分の意見を通そうとすればするほど、ウソが入り込む余地ができる。
いわゆる「ムキになる」と、場の流れがおかしくなるのと同じことだ。
そんなときに、何か物事を決めてはいけないことは明らかだ。「これは、こうであらねばならない」と力が入るほど、それはウソっぽく聞こえる。
だから、本当に正しい決断をしようと思ったら、心も体もゆるませておいたほうがいい。
P211
「麻雀に長考はない。それは考えているのではなく迷っているだけだ」
この言葉は私がつくった。
・・・麻雀をやる一般の人たちを見るとわかるが、彼らの手はよく止まる。牌を取ってきて、そして切る、ただそれだけのことなのに、やたら時間がかかっている。
それは、その間に「損か、得か」という計算や、「これで当たったらどうしよう」という不安がよぎるからである。
これは私に言わせれば、計算する脳ばかり駆使して、「感じる力」を使っていない証拠である。
もちろん、これは麻雀にかぎらない。世の中、すべて数理で動いている。そのくせ太陽が燦々と輝いてくれても、多くの人間は当たり前だと思っているし、雨が降れば降ったで「なぜ、雨なんだ。晴れればいいのに」などと勝手なことを言っている。
太陽や雨があるから農作物は育つし、私たち人間が生きていられる。それに対して、私たちは対価を払っているだろうか。雪や風のありがたみを分かっているだろうか。雲や星や月に対して、お金を支払っているだろうか。
・・・
もっと自然に対しても、また、森羅万象あなたのまわりで日々起こっていることを素直に感じるようにしてみよう。
この本の趣旨である「決断力」とは、実はそうした「感じる力」から生まれると思う。