このゆるさ、これがあったらほんとに人らしく生きられるなって思いました。
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桃子 最初のころは、仕事はマチガイがあってはならないと、それまでの刷り込みで、きつかった。周りにもカリカリしていた。
それが、最近、ほどけてきて、そう思わなくなったら、逆にミスが少なくなった。リラックスしたら、ミスが少なくなるみたい。
岸浪 自分も頑張りたくないし、頑張らないから、だから人にも頑張らせない。無理に頑張らないほうが、ミスも少なく、いい仕事ができるはず。
それを普通の経営者は、そうしたら業績がダメになって、会社が潰れるのがこわいから、自分が頑張る。
自分が頑張るから、人も頑張らないと気が済まなくなる。
そうすると、今の日本社会、会社みたいになる。
先に人間関係がないと、あいつ頑張らせないとちゃんとやるかな?とか、サボらないかって出るよね。
・・・
牛丸 よく、配達忘れることあるんだ。(笑)お客さん怒るよね。
一、二度あると、去るお客さんいる。
しかし、四〜五回続いても、続けてる人たくさんいる。
「あの〜。注文してましたよね〜?」とかいう感じで笑いながら聞いてくる。
「あー!!」とか言うと、「あー。よかった、してましたよね!」とか言うようになる。(笑)
岸浪 よく、ミスしてばかりだけど、お客さん減らないよな〜と思う!(笑)
配達に同行すると、お客様ひとりひとり、イレギュラーな対応が多いのに驚く。
老人なので、握力がないから、割り箸を割っていれておいてとか、あの漬物きらいだから入れないでとか。
普通の会社なら、漬物外しておいてと言われたら、「お客さん、ラインで作ってるのでそれはできません。嫌いなら残してくださいませんか」と言うと思う。
それが、ここは、よくやるなという程、個別対応できている。
そもそも、一個から配達というのは見たことがない。
その他、お金の頂き方も、月末一括、回数券、現金といろいろ、受け取り方、置く場所もいろいろ。
とてもじゃないと思える。
おそらく、ここでは、社内で人間関係、上下関係、責めに疲れていないので、その分のパワーが全部、お客様に向けられる。
それでこんなにめんどくさいことが平気でできているのだと思われる。
きつくしばって管理監視してないから、配達忘れるポカもあるけど、普段はよく気を配ってくれ、暖かい人間らしい対応、あたりまえの人間の、親しい人への対応が、そのままお客さんへ出ているようだ。