やりたいことがわからない

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

「やりたいことがわからない」人へのアドバイス、これも、いいなと思いました。

P196
 自分は将来何をするのか?「自分がやりたいこと」ってはたして何なのか?
 戦争に負けて、誰もが今日一日食べていくのに死にものぐるいだった時代もあった。「自分のやりたいことがわからない」なんていう悩みが、これほど日本中をおおうだなんて、そのころの、いったい誰が予想しただろう。
「豊かさ」が実現してしまったら、今度は「人はなぜ働くのか。どうして働かないといけないのか」ということが、悩みとして出現してしまった。これはちょっと簡単には答えが出ない悩みだよね。
 でも、こんなふうに考えてみたらどうだろう。「やりたいことがわからない」、その問いに向き合うためには「カネ」という視点を持つのが、いちばん、シンプルに見えてくるものがあるんじゃないか。
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「自分がやりたいことがわからない」という人は、やみくもに手探りをするよりも、このふたつの「あいだ」に自分の落としどころを探してみたらどうだろう。
「カネとストレス」、「カネとやりがい」の真ん中に、自分にとっての「バランス」がいいところを、探す。
 それでも、もし「仕事」や「働くこと」に対するイメージがぼんやりするようならば、「人に喜ばれる」という視点で考えるといいんじゃないかな。自分がした仕事で人に喜んでもらえると、疲れなんてふっとんじゃうからね。
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 人が喜んでくれる仕事っていうのは長持ちするんだよ。いくら高いお金をもらっても、そういう喜びがないと、どんな仕事であれ、なかなかつづくものじゃない。
 自分にとっての向き不向きみたいな視点だけじゃなくって、そういう、他人にとって自分の仕事はどういう意味を持つのかっていう視点も、持つことができたらいいよね。
 自分が稼いだこの「カネ」は、誰かに喜んでもらえたことの報酬なんだ。
 そう実感することができたら、それはきっと一生の仕事にだって、できると思う。