たとえばヘミシンクや前世療法などで、異次元を体験しているとき、初めにどこにいるのかの手がかりを得るために「まず足元を見てみましょう。そこは室内ですか?屋内ですか?裸足ですか?何か履いていますか?」と、まず足元の感覚に注目してみます。ベーシックな手法だし、これだととっかかりを得やすいな、とよく使っていましたが、ここを読んで納得、でした。
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・・・東京の外苑前に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」という暗闇を体験できる施設があります。・・・
進むべき方向が分からないということは、そこにあるはずの物理的な空間と、自分の体の結びつきが不確かになるということです。ちょっと極端な言い方をすれば、自分が体を持った存在としてこの空間にいるという実感が持てなくなってしまう。
もちろん、声を出すと仲間が応えてくれるので、自分が存在しているということは確認できます。けれどもこれも、実体のない魂同士の会話のように聞こえてしまう。存在はしているけど、体がなくなったような気分です。透明人間になるってこんな感じなのか?不思議なことに、DIDという光のない場所で私がいつも感じるのは、自分が光によってとらえることのできない存在になったような感覚なのです。
そんななか、自分が透明人間でないことをかろうじて証明してくれるのは、周りにいる人や物に触れる触覚、そして何より足の裏の感覚です。暗闇に入ると、足の裏からこれほど多くの情報が得られるのかと、その豊かさに驚きます。見えない世界では、サーチライトの役割を果たすのは、目ではなく、足なのです。自分が立っているそこが土なのか、絨毯の上なのか。傾いているのか、平らなのか。体重をかけていいのか、まずいのか。・・・