この方も・・・

アメリカのめっちゃスゴい女性たち

この方も、めっちゃスゴいという言葉をはるかに超えてる気がします。

P80
 「両親が台所で何かコソコソやっているのを知ったのは、3歳の頃でした」。名門ハーバード大を卒業したリズ・マーレーは、幼い頃、汚れた食器が何週間も放置されたキッチンで両親が覚醒剤やヘロインを注射しているのを目撃した。
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 父は刑務所に入ったり出たりを繰り返した。母は先天的な目の障害のために受け取る福祉の金で生活した。両親の麻薬中毒は進行し、リズの誕生日に祖母から送られた5ドル札や、感謝祭に教会から施された七面鳥を売って得た金でドラッグを買った。母が麻薬の代金として子供のコートを渡した時、売人ですら気が咎めて受け取らなかったほどだ。
 「ごめんね」。母はいつもリズに謝った。「悪いと思うけど、どうしようもないの」
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 ・・・リズが16歳の時、母は死んだ。父はホームレスになり、リズは福祉施設に引き取られたが、劣悪な環境に耐えられず脱走した。友達の家を転々とし、時には駅や公園のベンチで眠ることもあった。
 そんな宿無し生活のなかで、リズは恵まれない子どもたちに教育を受けさせてくれる学校に通い始め、自分がオールAの優等生だと初めて知った。そしてハーバードへの推薦を勝ち取った。でも、一文無しの少女に、金持ち坊ちゃんが通う私立大学の学費なんか払えない。
 リズは『ニューヨーク・タイムズ』紙が奨学生を募集しているのを知って、自分の半生を書きつづったエッセイを送って、見事に奨学金を勝ち取った。ホームレス少女がハーバードに入学!それは大ニュースになり、リズは当時のクリントン大統領から祝福を受け、無事に心理学科を卒業した。
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 リズの自伝『ブレイキング・ナイト』はベストセラーになり、全米各地から講演に呼ばれている。ちなみに講演料は1回200万円!そうした収益で、リズはマニフェスト・リビングという団体を創立し、両親や自分のように社会の闇に落ちてしまった若者たちを癒し、第二のチャンスを与えるために働いている。