ご夫妻の対談も載ってました

ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)

ゲゲゲの女房こと布枝さんとの対談も載ってました。
いいな〜と思ったところです。

P198
ーいつか大金持ちになってやるという気持ちはあったのですか。
布枝 お腹がいっぱいだったらいいという感じです。ねえ?
水木 金持ちになりたいとか、そういうことをいう商人を、水木サンはあざ笑っていたんです。幸せになりたいと叫んだこともない。

ー気がついたらお金持ちになっていたわけですね。
水木 いくらお金があったところで、毎日、ビフテキばかり食うわけにもいかんしね。水木サンにとっては睡眠をたくさんとるというのが一番大事です。

ーありあまるほどのお金があったとしても、使い道がないと。
布枝 昔から比べたら多少はお金ができたかもしれませんけど、別にきらびやかにしようと思わないし、家具を新調しようなんてこともないですね。まあ、不自由なく使えているので、これ以上贅沢しようなんて発想はないです。
水木 ハハハ。
布枝 暑くなきゃいい、寒くなきゃいいという生活で。何を纏ってもいいという感じでしたから、受賞だなんてときには着ていく服がなくて慌てました。

・・・

ーあるとき、「少年マガジン」から原稿依頼があったにもかかわらず断ったそうですね。貧乏から抜け出せるチャンスだったと思うのですが、どうしてですか。
布枝 宇宙ものを描いてくれという話だったんです。宇宙ものは得意ではないから断ったんです。
水木 不得手なものを引き受けて、面白くないといわれて注文がこなくなったらかなわんからねえ。
・・・
水木 常にゲーテ的でしたから、自分の好きなことをやるわけです。
布枝 描けばいいのにと思っても、自分のやりたくない分野には手を出しませんでした。私は残念でたまりませんでしたけれど、しばらくして、また『少年マガジン』から依頼がきたんです。編集方針が変わったから、自由に描いてくださいということで、『テレビくん』を描いたんです。