坊さん、父になる

「ボクは、坊さん。」がとてもよかったので、第二弾も買いました。
最近出たばかりの「坊さん、父になる。」
坊さん、父になる。

同じくお坊さんの奥さまとの出会い、お寺の仕事のあれこれなど、こちらも興味深い内容でした。
いいな〜と思ったエピソードです。
披露宴の二次会でのこと。

P54
 ・・・ほとんどカオスと化したその部屋に足を踏み入れると、九州のお坊さんと高知のお坊さんが壮絶な「飲み比べ」をしている。
 そして、御詠歌(仏教徒などが歌う和歌・和讃にふしをつけたもの)を信者さんに教える指導をしている大学時代の同級生が、不意に言う。
「ミッセイのために"法悦歓喜"をお唱えしよう!」
 そう提案すると、そこに集まった多くの坊さんたちが突然、手拍子とともに御詠歌を唱えだし、だんだん大合唱となっていく。
 「み親を知れるその日より なぜか心はときめきて
  仮の住家の憂き世にも 悦びわくを覚えたり 
  我は一人の旅ならず み親は常にましまして
  闇路はるかに照らしつつ 行く手をとわに守り賜う
  南無大師遍照尊 南無大師遍照尊 南無大師遍照尊」
 狭い部屋に百戦錬磨の「ええ声」が鳴り響く。彼らが歌いはじめた時は、「おいおい、となりのお客さんもいるのに、坊さんたちが酔っ払って御詠歌かよ。勘弁して〜」と思っていたのだが、声を合わせて部屋に響かせ、朗々と自分のための祝福として歌ってくれるその声を聞いていると、体が底のほうから温まってくるのを感じた。