氣の威力

「氣」の威力 (講談社+α文庫)

いろいろ興味深い本でした。
この方は、野球界では王さん、広岡さん、長嶋さんなど多くの人に指導し、相撲界でも千代の富士の肩の治療をしたりしていたそうで、読んでいるとびっくりなエピソードがたくさん載っていました。
順に書きとめていきたいと思います。

P33
 ・・・私は絶対に「気」とは書かない。旧漢字で「氣」と書くことにしている。というのもこのほうが氣の正しい意味を伝えることができると思うからだ。
 もともと漢字が絵から発達した象形文字であることはご存知だろう。「氣」の上の「气」は、天体をかたどっている象形文字だ。昔の人は、雲が交わっている状態をこのようにかたどった。・・・
 ・・・
「米」の形をよく見ていただければ、中心から八方に広がっている状態を表しているのがすぐおわかりだろう。つまり、天体のように八方に無限に広がって出て行くもの、これが「氣」という意味であり、氣とは出すものなのである。
 ところが、常用漢字では、なかに「乄」を使って「気」と書く。「乄」とは締めるという意味だ。これでは、氣を内側に閉じ込めてしまう意味になってしまう。・・・
 しかし、もともと氣はためるものではない。氣は出すから入ってくるのである。天地(宇宙)の氣と人間の氣が交流することを「息」というが、息が一時的にとだえれば氣絶する。永久にとだえてしまえば死ぬ。つまり天地の氣と人間の氣の交流が止まったときが死なのである。
 人間は生きている間は、いつも氣を出していなければならない。氣を出すから新しい氣が入り、出しているから天地と交流して「生きている」ということになる。